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文献詳細

雑誌文献

臨床外科63巻6号

2008年06月発行

外科学温故知新・35

呼吸器外科

著者: 佐藤裕1

所属機関: 1誠心会井上病院外科

ページ範囲:P.825 - P.827

文献概要

 従来,呼吸器外科医が扱う疾患は国民病とまで言われた肺結核や,肺化膿症,肺膿瘍といった感染症が主体であったが,耐性菌の出現という問題はあるものの,それらが有効な化学療法剤の開発により克服されていくことにより,対象疾患は肺癌へと変わってきた.

 さて,癌に対する外科治療の歴史は,取りも直さず多くの先駆者たちの悪戦苦闘・試行錯誤の歴史でもあるが,たとえば胃癌に関してはBillrothの名前が特筆されるように,肺癌の外科治療の歴史を論じる際に重要なのが1933年に発表されたGraham(Evarts Ambrose Graham:1883~1957年:図1)による気管支の扁平上皮癌に対する肺切除手術の報告である.本稿ではこのGraham論文を紹介することにより,自分に与えられた責務を果たしたい.なお,肺切除手術の歴史的変遷に関しては文末に数編の参考文献を掲げておくので参照されたい.

参考文献

1)Graham EA, Singer JJ:Successful removal of an entire lung for carcinoma of the bronchus. JAMA 101:1371-1374, 1933
1)尾見 薫:肺臓外科(宿題報告).日外会誌 17:233,1916
2)小沢凱夫:肺切除(宿題報告).日外会誌 42:1911,1942
3)宮本 忍,森岡 亨:肺切除術の歴史的素描.胸部外科 10:655-662,1957
4)石川七郎:肺癌総論:肺癌治療の歴史.本木誠二(監修);現代外科学大系 肺・気管支三30C.中山書店,1969
5)Rienhoff Jr. WF, Broyles EN:The surgical treatment of carcinoma of the bronchi and lungs. JAMA 103:1121-1129, 1934
6)Meade RH:An introduction to the history of general surgery. pp173-196, Chapter 14. Thoracic Surgery, WB Saunders, Philadelphia-London-Toronto, pp173-196, 1968
7)佐藤 裕:胆囊造影(Cholecystography)の開発:Evarts A Grahamの貢献.胆と膵 27:429-433,2006

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1278

印刷版ISSN:0386-9857

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