icon fsr

文献詳細

雑誌文献

臨床外科63巻7号

2008年07月発行

文献概要

カラーグラフ 外科手術における新しいテクニック―new art in surgery・16

RFAを用いた乳癌手術

著者: 尾浦正二1

所属機関: 1和歌山県立医科大学第1外科

ページ範囲:P.905 - P.910

文献購入ページに移動
はじめに

 癌細胞をメスで1つ残らず切除することが乳癌の根治に必須であるという概念のもとに乳癌治療の教育を受けてきた外科医が乳房温存療法の治療概念を許容するには比較的長時間を要した.しかしながら,原発性乳癌の局所療法として乳房温存手術が最も高頻度に施行されるようになった現在,この概念に異議を唱える臨床医は存在せず,長期成績は存在しないものの,早期乳癌に対する標準的局所治療は乳房温存手術とセンチネルリンパ節生検に基づく腋窩温存へと変化しつつある.

 一方,術前化学療法によって一定の頻度で病理学的完全効果が得られるようになるとともに,マンモグラフィ検診の普及によって超早期乳癌が数多く発見されるようになってきたため,「乳癌を切らずに治す」という治療概念が現実味を帯びつつある.前者のアプローチでは,化学療法にトラスツズマブを併用することでより現実味が増すことが示唆され1),後者のアプローチでは凍結凝固や熱凝固といった,いわゆるnon-surgical ablationの有用性が基礎的・臨床的検討から明らかになりつつある.

 本稿では,当科で行っている乳癌に対するラジオ波熱凝固療法(radiofrequency ablation:以下,RFA)の基本的考え方と手技について概説する.

参考文献

1)Buzdar AU, Ibrahim NK, Francis D, et al:Significantly higher pathologic complete remission rate after neoadjuvant therapy with trastuzumab, paclitaxel, and epirubicin chemotherapy:results of a randomized trial in human epidermal growth factor receptor 2-positive operable breast cancer. J Clin Oncol 23:3676-3685, 2005
2)Fornage BD, Sneige N, Ross MI, et al:Small(≤2cm)breast cancer treated with US-guided radiofrequency ablation:Feasibility study. Radiology 231:215-224, 2004
3)Jeffrey SS, Birdwell RL, Ikeda DM, et al:Radiofrequency ablation of breast cancer. Arch Surg 134:1064-1068, 1999
4)Khatri VP, McGahan JP, Ramsamooj R, et al:A phase Ⅱ trial of image-guided radiofrequency ablation of small invasive breast carcinomas:use of saline-cooled tip electrode. Ann Surg Oncol 14:1644-1652, 2007
5)Oura S, Tamaki T, Hirai I, et al:Radiofrequency ablation therapy in patients with breast cancers two centimeters or less in size. Breast Cancer 14:48-54, 2007
6)尾浦正二:乳癌に対するラジオ波熱凝固療法.真興交易株式会社医書出版部,2006,pp51-66

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1278

印刷版ISSN:0386-9857

雑誌購入ページに移動
icon up
あなたは医療従事者ですか?