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文献詳細

雑誌文献

臨床外科63巻9号

2008年09月発行

文献概要

特集 がんの切除範囲を考える―診断法とその妥当性

食道癌の切除範囲を考える

著者: 加藤広行1 中島政信1 斉藤加奈1 桑野博行1

所属機関: 1群馬大学大学院医学系研究科病態総合外科学

ページ範囲:P.1175 - P.1181

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要旨:食道癌の外科治療において,その至適切除範囲は原発巣を含めた食道および胃上部の切除,リンパ節の郭清および隣接臓器の合併切除の有無によって決定されている.食道の切除範囲は食道壁内の病巣進展範囲とリンパ節の郭清範囲という両方の点から慎重に判断する必要がある.食道の切除範囲には主病変に連続する上皮内進展,壁内転移,脈管侵襲(リンパ管侵襲と静脈侵襲)などの併存病変,および多発癌などを含めることが必要である.手術前に内視鏡や各種画像診断を行ったにもかかわらず,壁内転移や脈管侵襲などの非連続的な上皮下進展のため切除断端が陽性になることが稀ではない.そのため,綿密な手術前検査および切除標本による組織学的評価が重要であり,必要に応じて追加療法を検討することも肝要である.

参考文献

1)桑野博行,加藤広行,浅尾高行:進行食道癌の手術 胸部中部食道癌.消外 23:1009-1016,2000
2)桑野博行,加藤広行,中島政信:群馬大学第1外科の手術方針と手技.手術 57:391-397,2003
3)桑野博行,宮崎達也,加藤広行:食道癌.外科治療 92:253-258,2005
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6)幕内博康,島田英雄,千野 修,他:食道癌に対するEMR後の再発.臨外 60:169-175,2005
7)Kuwano H, Masuda N, Kato H, et al:The subepithelial extension of esophageal carcinoma for determining the resection margin during esophagectomy:a serial histopathologic investigation. Surgery 131:S14-S21, 2002
8)桑野博行,川口英俊,佐伯浩司,他:食道癌切除例における口側進展形式の検討.日消外会誌 30:2093-2097,1997
9)小出義雄,岡住慎一,松原久裕,他:食道癌における至適切除範囲の検討.日消外会誌 30:2088-2092,1997
10)坂本英至,寺崎正起,岡本恭和,他:食道癌の随伴病変に関する臨床病理学的検討.癌の臨 47:731-735,2001
11)日本食道学会(編):臨床・病理 食道癌取扱い規約.金原出版,2007

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1278

印刷版ISSN:0386-9857

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