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文献詳細

雑誌文献

臨床外科63巻9号

2008年09月発行

文献概要

特集 がんの切除範囲を考える―診断法とその妥当性

甲状腺癌の切除範囲を考える

著者: 阿美弘文1 鈴木眞一1 竹之下誠一1

所属機関: 1福島県立医科大学外科学第2講座

ページ範囲:P.1227 - P.1232

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要旨:甲状腺癌は組織型によって診断治療の方針が異なる.甲状腺癌の大部分を占める乳頭癌では甲状腺亜全摘が行われることが多かったが,根治性,合併症の頻度,術後の経過観察,再発時の対応の問題から亜全摘の意義は小さくなった.年齢や病状によって片葉切除または全摘を選択し,同様にリンパ節郭清の範囲を決めている.浸潤型濾胞癌では甲状腺の全摘が必要である.術前診断の困難な被包型濾胞癌ではリンパ節郭清は必須ではないが,術後組織学的に脈管侵襲を認めたものに対しては残存甲状腺全摘術の適応となる.未分化癌では集学的治療を要するが,治療抵抗性できわめて予後が悪く,緩和医療も考慮した治療戦略を立てる必要がある.髄様癌は多発性内分泌腫瘍症2型との関連が治療上も問題となり,治療方針の決定にも家族性腫瘍としての取り扱いが必要である.

参考文献

1)鈴木眞一:甲状腺乳頭癌に対する治療ガイドラインの作成のための検討.内分泌外科 23:236-243,2006
2)甲状腺外科研究会(編):甲状腺癌取扱い規約.第6版.金原出版,2005
3)鈴木眞一,福島俊彦,竹之下誠一:甲状腺乳頭癌と遺伝子異常.ホルモンと臨 55(特別増刊):83-86,2007
4)阿美弘文,野沢佳弘,鈴木眞一,他:甲状腺濾胞性腫瘍における核異型度計測およびFB21免疫染色性の検討.内分泌外科 19:187-193,2002
5)鈴木眞一,福島俊彦,阿美弘文,他:最近の甲状腺疾患における諸問題.外科 68:745-753,2006
6)鈴木眞一:甲状腺分化癌における予防的リンパ節郭清の意義.外科治療 97:198-200,2007
7)鈴木眞一:内視鏡下の良性甲状腺手術―AAA-ETSについて.日鏡外会誌 13:269-279,2008
8)鈴木眞一,竹之下誠一:甲状腺(分化)癌の予後解析,癌死危険度分析.外科 63:12-15,2001
9)鈴木眞一:甲状腺未分化癌.日臨 65:2079-2085,2007
10)鈴木眞一,福島俊彦,角田ますみ,他:福島県立医科大学での癌診療における家族性腫瘍の位置付け.家族性腫瘍 8:44-48,2008
11)Brandi ML, Gagel RF, Angeli A, et al:Guidelines for diagnosis and therapy of MEN type 1 and type 2. J Clin Endocrinol Metab 86:5658-5671, 2001

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1278

印刷版ISSN:0386-9857

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