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特集 できる!縫合・吻合 Ⅲ.部位(術式)別の縫合・吻合法 3.胃
噴門側胃切除後の空腸間置術の縫合・吻合
著者: 布部創也1 西田正人1 森和彦1 野崎浩二1 畑尾史彦1 和田郁雄1 清水伸幸1 野村幸世1 瀬戸泰之1
所属機関: 1東京大学大学院医学系研究科消化管外科学
ページ範囲:P.154 - P.158
文献購入ページに移動噴門側胃切除術は主に上部早期胃癌症例に対する機能温存手術として位置づけられている術式である.術後生存期間やquality of life(QOL)の維持に関するエビデンスは乏しいため,胃全摘術との比較において適応についての議論の余地は残されているものの,2008年4月改訂の保険点数にも収載されており,広く普及した術式の1つと考えるべきである.
当科においては残胃が1/2以上残存する上部早期胃癌を本術式の適応としている.そのため,UM領域の広い0-Ⅱc病変などは適応からはずれることとなる.切除範囲については幽門側胃切除術と異なり,どのような再建法を採用するにせよ,術後の逆流性食道炎を考慮すると残胃は大きいほうがよいと思われる.
リンパ節郭清範囲については「胃癌取扱い規約」(第13版)1)と「胃癌治療ガイドライン(医師用)」(第2版)2)に従うべきと考えるが,上部胃癌に対する縮小手術が規定されていないため,通常はNo. 1,2,3,4sa,4sb,7が縮小手術Aに相当し,No. 8a,9を追加して縮小手術Bに相当すると考えるのが妥当であろう.ただし,後胃動脈沿いのリンパ流は特に上部胃癌では重要と考えられるため,脾動脈沿いの後胃動脈根部周囲までのNo. 11pは特に縮小手術Bでは郭清の対象になると考えている.
再建法に関しては食道-胃吻合術,空腸間置術,パウチ作製などの方法が行われているが,何と言っても術後の逆流性食道炎が大きな問題となる.当科では犠牲腸管を作製した単管の空腸間置術を施行しており,逆流を予防すべく様々な工夫を行なっている.以下で術式の実際やポイントなどを詳述する.
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