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特集 できる!縫合・吻合 Ⅲ.部位(術式)別の縫合・吻合法 5.大腸
経肛門的結腸-肛門吻合
著者: 西澤雄介1 齋藤典男1 杉藤正典1 伊藤雅昭1 小林昭広1
所属機関: 1国立がんセンター東病院大腸骨盤外科
ページ範囲:P.256 - P.258
文献購入ページに移動1972年,St Mark's HospitalのParksは“transanal technique in low rectal anastomosis”について述べている1).当時,TurnbullあるいはMaunsell-Weirなどによる経肛門吻合法は知られていたが,いずれも肛門側断端を反転し肛門管外で吻合後に還納するものであった.Parksは,これらの方法は「より広範な剝離・授動を要し,その過程における支配神経の障害が懸念される」ものであると述べている.また肛門管上縁から1,2cm口側での経腹的吻合は,前立腺や腟の存在および直腸と肛門管の成す角度(anorectal angleあるいはflexura perinealis)により視野展開が悪く困難であり,natural portである肛門からの吻合が有用であると考えた.
Double stapling technique(DST)によってより低位での吻合が可能となった現在では,内肛門括約筋切除術(ISR)手術における経肛門吻合を別にすると,Parksにより行われたconventionalな経肛門的結腸-肛門吻合(colo-anal anastomosis:CA)はその適応が限られる.しかしながら腫瘍縁からのdistal margin(DM)の確保が不明確となる症例や,DSTにおけるアクシデントへの対処の1つとしても習得すべき手技であると考えられる.
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