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特集 できる!縫合・吻合 Ⅲ.部位(術式)別の縫合・吻合法 5.大腸
ハルトマン術式の肛門側縫合閉鎖法
著者: 正木忠彦1 松岡弘芳1 小林敬明1 杉山政則1 跡見裕1
所属機関: 1杏林大学医学部消化器・一般外科
ページ範囲:P.266 - P.269
文献購入ページに移動消化管切除手術後の吻合には大なり小なり縫合不全のリスクが伴っている.縫合不全のリスクを高くする患者側因子としては,内科的併存症による全身状態不良,糖尿病,低酸素血症,低栄養,ステロイドの長期使用,腹膜炎の存在などが挙げられる.手術関連因子としては,口側腸管の血行不良や吻合部に緊張がかかることが予想されることなどがある.
上部直腸ないし直腸S状部癌手術において,一期的な結腸-直腸吻合を行わず,直腸断端を閉鎖し結腸断端を挙上して単孔式人工肛門とする術式を1923年にHartmann1)が報告した.この術式は,左側結腸癌や結腸憩室炎穿孔例,潰瘍性大腸炎重症例などの緊急手術例にも応用できるものである2).
ハルトマン術式における肛門側断端の閉鎖法には,手縫い縫合法と自動縫合器による方法がある.近年では後者が一般的ではあるが,ステイプル単独では縫合不全をきたす症例も経験する.したがって,消化器外科医としては手縫い縫合法についても熟知しておく必要がある.その手順について以下に概説する.
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