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文献詳細

雑誌文献

臨床外科64巻11号

2009年10月発行

文献概要

特集 できる!縫合・吻合 Ⅲ.部位(術式)別の縫合・吻合法 5.大腸

直腸・肛門脱手術の縫合

著者: 中島紳太郎1 高尾良彦2

所属機関: 1東京慈恵会医科大学附属第三病院外科 2順和会山王病院

ページ範囲:P.274 - P.277

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はじめに

 直腸脱は肛門外に直腸が脱出した状態で,粘膜のみが脱出したものは直腸粘膜脱(mucosal prolapse)と分類され,直腸全層が脱出した完全直腸脱(complete prolapse)とは治療法が異なる.

 解剖学的な発生に関わる構造の異常として表1のような要因が挙げられるが1),これらは2次的変化に過ぎず,排便における骨盤底筋や肛門括約筋の機能失調が1次的要因であるとする説もある.直腸脱患者の多くは便秘を伴っており,直腸が脱出した状態で「いきみ」を長時間持続する習慣がついている.このため骨盤底筋や括約筋の弛緩状態が持続し,直腸脱自体とこれに伴う2次的変化がいっそう悪化し,悪循環になっているという考えである.

 以上のような観点から,直腸脱の外科治療はそれぞれの症例の解剖学的病態を正確に把握して選択すべきであろうと考える.

 歴史上,多岐にわたる術式が考案されているが,これらは①過長腸管の縫縮・切除,②肛門括約筋の補強,③S状結腸や直腸の固定,④骨盤底筋および括約筋の補強,⑤深いDouglas窩の閉鎖などに大別できる.修復の目的を理解し,症例に応じて術式を単独もしくは適宜組み合わせて病態に応じた選択をする必要がある.

 以下に代表的な手術の手技の実際およびポイントを解説する.

参考文献

1)Gordon PH:Principles and Practice of Surgery for the Colon, Rectum, and Anus:Rectal Procidenia. St. Louis, Quality medical Publishing, 1999, pp503-540
2)吉雄敏文:直腸脱の手術.外科 56:524-527,1994
3)梅枝 覚:直腸脱の診断と治療.臨床外科 63(増):329-338,2008
4)荒武寿樹,亀岡信吾:直腸脱の手術.畠山勝義(編);専門医を目指すための経験すべき下部消化管手術.メジカルビュー,2001,pp118-129

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1278

印刷版ISSN:0386-9857

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