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特集 できる!縫合・吻合 Ⅲ.部位(術式)別の縫合・吻合法 7.膵・脾
膵仮性囊胞-胃吻合
著者: 杉本博行1 中尾昭公1
所属機関: 1名古屋大学大学院医学系研究科消化器外科学
ページ範囲:P.349 - P.351
文献購入ページに移動膵仮性囊胞とは膵液や浸出液,壊死組織の融解物が線維または肉芽組織の壁で覆われたもので,急性膵炎,膵外傷や慢性膵炎などに起因する1).膵仮性囊胞の約25%は6cm以下の大きさで無症状であり2),経時的な画像診断による経過観察が可能である.大きな囊胞の場合には,疼痛,消化管通過障害,閉塞性黄疸,囊胞内出血,感染などの症状を有することがあり治療対象となる.また,経過観察中に囊胞の増大がみられた場合にも治療対象である.
膵仮性囊胞の成因,大きさ,部位,合併症に応じて治療法は選択される.治療法として外瘻,内瘻と切除があり,従来は外科的治療が主体であったが,経皮的,内視鏡的,腹腔鏡下治療などの低侵襲な治療法も行われるようになってきた.
膵仮性囊胞-消化管吻合術は囊胞の内容を直接消化管に誘導する内瘻術であり,近年は内視鏡的内瘻術も広まっているが再発率は外科的内瘻術のほうが低い.仮性囊胞の位置と周辺臓器の位置関係をCTやUSで確認し,囊胞へのアプローチ経路と吻合する消化管を決定する.仮性囊胞が網囊内に存在し,胃後壁が囊胞壁となっている場合には経胃的囊胞-胃吻合術が適応となる.胃壁と癒着していない場合には網囊を開き,胃後壁と吻合する仮性囊胞-胃吻合術や仮性囊胞-空腸吻合術が選択される.
ここでは,経胃的膵仮性囊胞-胃吻合術の手技を中心に述べる.
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