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文献詳細

雑誌文献

臨床外科64巻11号

2009年10月発行

文献概要

特集 できる!縫合・吻合 Ⅲ.部位(術式)別の縫合・吻合法 7.膵・脾

脾実質の縫合

著者: 吉田英生1

所属機関: 1千葉大学大学院医学研究院小児外科学

ページ範囲:P.352 - P.355

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はじめに

 脾縫合術は,外傷あるいは術中副損傷によって生じた被膜裂傷から単純深在性損傷程度のものが適応となる.そのほかに脾臓の試験切除や脾部分切除断端処理などの際にも行われる.

 わが国では外傷の大半は鈍的外傷であり,脾臓は肝臓とならび,腹腔内臓器のなかで最も外傷を受けやすい臓器である.脾損傷には直接外力が加わる圧縮力による組織の破壊と,脾臓が横隔膜・胃・膵・結腸などと固定・癒着しているため移動が阻止されることによって起こる引きちぎられるような損傷がある.術中副損傷は過度の牽引が原因となることが多い.最近は腹腔鏡下手術の合併症として散見される1)

 近年,画像診断の進歩,interventional radiology(IVR)の普及,全身管理の向上により,循環動態の安定した脾損傷患者の初期治療は非手術的療法(non-operative management:NOM)が標準的治療となりつつある.また,開腹した場合にも脾摘後の易感染性のリスクから可及的温存への試みが行われてきた.外傷性脾損傷に対する初期治療としての外科的手術の頻度は23%~27%と低く2),一方,非手術的療法の成功率は83%~97%と高率である3)

参考文献

1)Bo T, Zhihong P, Peiwu Y, et al:General complications following laparoscopic-assisted gastrectomy and analysis of techniques to manage them. Surg Endosc:2009(in press)
2)Wahl WL, Ahrns KS, Chen S, et al:Blunt splenic injury:operation versus angiographic embolization. Surgery 136:891-899, 2004
3)McCray VW, Davis JW, Lemaster D, et al:Observation for nonoperative management of the spleen:how long is long enough? J Trauma 65:1354-1358, 2008
4)日本外傷学会臓器損傷分類委員会(編);脾損傷分類2008.日外傷会誌 22:263,2008
5)斎藤和好:肝・胆・膵・脾の手術 脾摘術.消外 25:1199-1205,2002

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1278

印刷版ISSN:0386-9857

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