臨床外科64巻11号

2009年10月発行

特集 できる！縫合・吻合 Ⅲ．部位（術式）別の縫合・吻合法 9．そのほか

尿管手術（尿管皮膚瘻術を含む）

著者： 荒木千裕¹ 市川智彦¹

所属機関： ¹千葉大学医学部附属病院泌尿器科

ページ範囲：P.410 - P.414

はじめに

　本書を読まれている方々はおそらく消化器，骨盤外科に携わっている医師であり，普段から尿管手術を行われているわけではないものと思われる．臨床の場で実際に尿管を操作するのは，その周辺臓器を操作する際と尿管損傷を生じた場合であろう．したがって本稿では尿管を扱う際の留意点および損傷時の修復について述べたいと思う．また，尿路変向法として尿管皮膚瘻造設術について記す．

　尿管の解剖について，教科書的には後腹膜腔に存在すると明記されているものと思われる．近年，腹腔鏡下手術の普及により，外側円錐筋膜という新たな膜構造の概念が提唱されている．腹膜の外側の膜構造であり，腰方形筋に収束している．腎，尿管は腹膜（癒合筋膜）と外側円錐筋膜に挟まれる形で存在している．

　後腹膜腔を展開する際には外側円錐筋膜を腹膜側につけた状態となり，したがって尿管は腹壁側ではなく，必ず腹膜側についてくることが理解できる（図1）．血流は周囲動脈より流入し，腹部尿管では主に内側より，骨盤部尿管では主に外側より流入している点を銘記されたい^1）．

参考文献

1）Fröber R：Surgical anatomy of the ureter. BJU Int 100：949-965, 2007

2）Lusuardi L, Lodde M, Pycha A：Cutaneous ureterostomy. BJU Int 96：1149-1159, 2005

3）Barry JM：Surgical atlas Transureteroureterostomy. BJU Int 96：195-201, 2005

4）平塚義治：尿路変向術　尿失禁型　尿管皮膚瘻術．臨泌 52：115-125，1998