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文献詳細

雑誌文献

臨床外科64巻11号

2009年10月発行

文献概要

特集 できる!縫合・吻合 Ⅲ.部位(術式)別の縫合・吻合法 9.そのほか

膀胱の縫合

著者: 石田肇1

所属機関: 1日本大学医学部付属練馬光が丘病院泌尿器科

ページ範囲:P.423 - P.426

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はじめに

 縫合の目的の1つは,創面が適切な強さで適切に接する状態を作ることである.これには手術手技が関わる.膀胱縫合の場合,適切な強さはwatertightという言葉でしばしば表現される.水が漏れない程度ということであるが,これは縫合後膀胱腔内に生理食塩水を注入して確かめることができる.適切に接するとは,膀胱壁各層すなわち粘膜層(尿路上皮)と残りの層(筋層,漿膜)がそれぞれ層ごとに密着することである.

 もう1つの目的は,縫合創が治癒するまでの間,創面にかかる張力に対抗できるよう機械的支持を与えることにある.これには縫合糸の太さや材質が関わってくる1).縫合の強さを持続させるべき時間の目安としては,膀胱の創は2週間で元の強さの70%を取り戻し,21日で元の強さとなるとされている.また,5日目には尿路上皮が膀胱の縫合創を覆うとされている.一方,尿路に異物が長期間存在すると結石形成の原因となる.したがって尿路の縫合糸は結石が形成される前に吸収されることが要求される.合成吸収糸(polyglycolic acid)は28日で吸収されてしまうとされているが,catgutに比べると吸収は遅く,通常結石が形成されるまでには消えてしまう.そしてproteusなどの感染尿の場合を除けば,吸収速度や縫合強度の持続もcatgutより安定している.したがって,一般的にはバイクリルを中心とした合成吸収糸が用いられ,catgutは状況により選択される.

参考文献

1)Hinman F Jr:Atlas of Urologic Surgery. Philadelphia, WB Saunders Co, 1992, pp32-34
2)石田 肇,岡田清己:膀胱腟瘻閉鎖術.山口 脩,村井 勝,松田公志(編);Urologic SurgeryシリーズNo. 3 尿失禁の手術.メジカルビュー社,2000,pp96-110

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1278

印刷版ISSN:0386-9857

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