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雑誌目次

雑誌文献

臨床外科64巻12号

2009年11月発行

雑誌目次

特集 転移性腫瘍に対する治療戦略

転移性肺腫瘍に対する治療戦略

著者: 泉陽太郎 ,   川村雅文

ページ範囲:P.1483 - P.1488

要旨:転移性肺腫瘍の治療はほかの転移性腫瘍と同様に,原則として原発臓器の標準的治療法に基づいて行われる.近年開発された新規抗癌剤や分子標的治療薬は複数の癌腫においてその転移巣に対する有効性を示しており,全身療法による転移性肺腫瘍の制御能力は今後向上していくであろう.一方,外科的切除も胸腔鏡を併用した低侵襲手術に向かい,ablationや放射線治療といった局所制御療法の選択肢も多様化している.原発腫瘍の生物学を十分に理解したうえで,個々の症例に応じて最も適切な治療法を選択し組み合わせることが肝要である.

転移性脳腫瘍に対する治療戦略

著者: 糟谷英俊

ページ範囲:P.1489 - P.1496

要旨:転移性脳腫瘍は成人の癌の20~40%にみられ,主に血行性に転移するため,肺癌あるいは肺への転移巣から転移することが多い.脳実質への転移が多いが,硬膜転移や頭蓋骨転移,あるいは癌性髄膜炎を呈することもある.平均生存期間は,ステロイドの投与のみでは1~2か月である.転移性脳腫瘍の治療は生活状態(KPS),年齢,原発巣の制御,ほかの転移巣,腫瘍の個数と大きさなどを考慮に入れて,外科治療,全脳照射,定位手術的照射をうまく組み合わせて行う.化学療法もほかの転移巣と同様の効果が期待できる.現在では平均生存期間は1年となっている.早期に発見し,適切な治療を選択して綿密なフォローを行うことで腫瘍の制御と延命が期待できる.

転移性骨腫瘍に対する治療戦略―早期診断と予後予測に基づいた治療

著者: 片桐浩久

ページ範囲:P.1497 - P.1505

要旨:骨転移の治療目的は除痛のみではなく,むしろ死亡直前まで自力移動能力を維持することである.そのためには患者の予後と治療のゴールを考慮して放射線治療や手術を組み合わせる必要がある.治療を要する代表的な部位は脊椎,大腿骨近位,上腕骨,骨盤の4か所である.脊椎は進行すれば下肢麻痺となるが,その前の疼痛のみの段階で迅速に画像診断を行って転移を発見し,適切な照射を行うことが重要である.その場合,90%以上の症例で生存中麻痺が回避できる.四肢長管骨では予後に応じて骨接合,または骨転移病巣を切除して人工骨で置換する2種類の手術方法を使い分けるとよい.いずれの部位でも早期に発見し治療を開始することが良好な成績につながる.

転移性肝腫瘍に対するラジオ波焼灼術(RFA)

著者: 椎名秀一朗 ,   内野康志 ,   新野徹 ,   榎奥健一郎 ,   後藤絵理子 ,   中川勇人 ,   増崎亮太 ,   近藤祐嗣 ,   建石良介 ,   五藤忠 ,   小池和彦

ページ範囲:P.1507 - P.1514

要旨:熱で腫瘍を壊死させるradiofrequency ablation(RFA)は低侵襲にもかかわらず根治性のある治療である.当科では転移性肝腫瘍の185例にRFAを実施したが,そのうち大腸癌肝転移は122例であった.全身化学療法63例,肝切除35例,動注化学療法21例など,94例では前治療が行われていた.122例全例の5年生存率は36.9%であり,5年生存11例,7年生存5例であった.根治的治療を目指してRFAを実施した58症例では5年生存率は61.7%だった.従来,転移性肝腫瘍では治療の第1選択は肝切除とされてきた.しかし,RFAの長期成績は良好であり,転移性肝腫瘍に対する治療の選択肢に加えられるべきであろう.ただし,RFAは成績に施設間格差がある.特に転移性肝腫瘍は治療が難しい.肝切除の可能例に安易に手を出して癌を残存させてはならない.

大腸癌肝転移に対する治療戦略

著者: 高橋慶一 ,   山口達郎 ,   松本寛 ,   中野大輔 ,   宮谷知彦

ページ範囲:P.1515 - P.1519

要旨:大腸癌肝転移の治療は肝転移の診断技術や全身化学療法の進歩によって最近の数年で大きく変化した.肝転移は切除が可能ならば切除することで予後延長効果があることが認められ,大腸癌肝転移に対する最も有効な治療法である.しかし,全身化学療法の進歩によって,切除不能多発性肝転移に対しても全身化学療法を施行することで肝転移が縮小し,切除が可能となる症例は増え,切除不能肝転移に対する新たな治療戦略になった.また,多発性肝転移症例に対して門脈塞栓療法を併用した2段階肝切除術(two-stage hepatectomy)や熱凝固療法などの新たな治療法も出てきた.本稿では,このように変化しつつある大腸癌肝転移治療の現況について概説する.

胃癌肝転移に対する治療戦略

著者: 斎浦明夫 ,   古賀倫太郎 ,   山口俊晴

ページ範囲:P.1521 - P.1525

要旨:胃癌肝転移の多くは全身病で,腹膜播種やリンパ節転移などほかの非治癒因子を伴う.予後は1年以内と不良であり,胃癌肝転移に対する基本戦略は切除不能胃癌に対する治療戦略を参照すればよい.現在,非治癒胃癌の標準的化学療法はTS-1+CDDP療法である.胃癌肝転移に対する肝切除の有効性の評価は確立されていないが,例外的に大腸癌肝転移でしばしば経験するように,肝臓のみに病巣が限局している場合がある.症例を限定すれば肝切除後の5年生存率は20~40%程度である.特に(1)単発かつ(2)5cm未満,かつ(3)原発巣で漿膜浸潤がないという3つの条件を満たす患者が肝切除のよい適応であると考えられる.しかし,肝内再発が高率に発生し,より強力な全身化学療法が期待される.

Gastrointestinal stromal tumor(GIST)の肝転移に対する治療戦略

著者: 鈴木秀樹 ,   木暮和夏子 ,   和田渉 ,   新木健一郎 ,   小林力 ,   久保憲生 ,   桑野博行

ページ範囲:P.1527 - P.1538

要旨:進行したgastrointestinal stromal tumor(GIST)では15~20%の症例においてGISTの肝転移が認められる.また,原発巣に対して根治的切除を施行しても70~77%と高率に肝に再発が認められ,GIST肝転移の治療はGIST患者の予後改善のために非常に重要である.現在,転移/再発GISTの第1選択はイマチニブ投与であり,欧米の臨床試験の結果から80%を超える病勢コントロール(有効+不変)が得られている.しかしながら,イマチニブ投与だけでは完治は望めず,症例を選択し肝切除を施行することで予後の延長が期待できる.また,肝予備能が悪い症例や重篤な合併症を有し肝切除不能な症例では,肝転移に対してradiofrequency ablation(RFA)やtranscatheter arterial embolization(TAE)も有効な手段である.

転移性膵腫瘍に対する治療戦略

著者: 吉富秀幸 ,   木村文夫 ,   清水宏明 ,   吉留博之 ,   大塚将之 ,   加藤厚 ,   古川勝規 ,   竹内男 ,   高屋敷吏 ,   須田浩介 ,   高野重紹 ,   宮崎勝

ページ範囲:P.1539 - P.1545

要旨:転移性膵腫瘍に対する治療について,外科切除を中心に最近の報告をまとめた.本疾患は膵腫瘍切除例の1~2%を占めるにすぎない.原発巣は,腎癌が切除例の半数以上を占める.切除術式としては,通常型膵癌に準じた定型的な膵切除術が行われることが多い.特に約2割の症例で膵転移が多発しており,根治切除のためには膵全摘術が必要になることもある.膵切除後の予後をみると,腎癌原発症例においては生存期間中間値が100か月以上と良好である一方,肺癌や悪性黒色腫では予後不良な報告が多い.われわれもこれまでに4例の腎癌からの転移性膵腫瘍の切除例を経験し,全例が生存中である(観察期間10~79か月).以上から,特に腎癌からの転移性膵腫瘍に対しては積極的に外科切除を考慮すべきであると考えられた.

副腎・脾転移に対する治療戦略

著者: 島田和明 ,   江崎稔 ,   伴大輔 ,   山本有祐 ,   奈良聡 ,   阪本良弘 ,   小菅智男

ページ範囲:P.1547 - P.1553

要旨:副腎・脾転移は全身転移の1転移巣であることが多く,切除の適応となることは稀である.しかしながら,(1)孤立性転移巣であること,(2)ほかに原発巣や転移巣があっても十分に治療でコントロールが可能であること,(3)出血などの有症状例,(4)全身状態が良好であることなどの条件を満たせば外科切除の適応となる.現在までの切除報告例の検討によると,副腎転移は肺癌,肝細胞癌からの転移,脾転移は大腸癌からの転移が多かった.副腎転移は悪性疾患の既往のある副腎偶発腫陽との鑑別が臨床上重要であり,非機能性褐色細胞腫も念頭に置くべきである.外科切除の有用性にはいまだ議論のあるところではあるが,長期生存例の報告も散見されている.症例ごとに画像診断および生物学的悪性度を慎重に評価し,安全で低侵襲な手術を心がけることが重要である.

カラーグラフ エキスパート愛用の手術器具,手術材料・11

痔核手術に愛用の手術器具・材料

著者: 奥田誠 ,   辻塚一幸 ,   高尾良彦 ,   菊池潔

ページ範囲:P.1473 - P.1479

はじめに―痔核手術法の変遷

 痔核は,直腸から肛門にかけて存在する静脈叢を含む粘膜下の結合織(クッション)の固定が障害されて下垂することによって生じるとの説が近年広く認知されている.痔核には歯状線を境に口側の内痔核と肛側の外痔核に分けられるが1),手術適応となる痔核は,(1)排便ごとに脱出し,本人が手術を希望する場合,(2)排便以外にも歩行時や立位で容易に脱出する場合,(3)痔核からの出血によって貧血をきたす場合としている.実際には内痔核,脱肛が頻度では最も多い.

 根治手術は内・外痔核を問わず,流入する支配動脈の血流を遮断し,加えて痔核を切除してしまうことにある.この理念に基づいて行われる結紮切除法は昭和40年代から広く行われてきた.筆者らは当初,隅越2)の方法に従い,文字通り3本の支配動脈を3-0吸収糸で2重結紮し,その末梢の内外痔核を切除したまま開放創としていた.その後,創傷治癒時間を早める目的で,歯状線までは3-0吸収糸で連続縫合する半閉鎖式を好んで行ってきた.痔核の切除に際し,昭和の頃は電気メスで行っていたものを,熱損傷を小さくし術後の疼痛が緩和されることを期待して近年はハーモニック・スカルペル(超音波切開凝固装置)を用いて行っていたが,術後の疼痛軽減効果は今ひとつであった.

 イタリアのLongo3)によって考案されたprocedure for prolapse and hemorrhoid(PPH)手術はこれまでの考え方とまったく異なり,痔核そのものを切除するのではなく,その口側の粘膜・粘膜下層を輪状に切除し,同時に吻合することによって痔静脈叢への血流を遮断し,さらに痔組織を挙上して側壁に固定することで痔核の消退と脱肛の消失を期待するものである4).この際,管状に切除された組織には粘膜および粘膜下層のほかに若干の筋層が含まれるのが普通である.

 手術操作の環状切除・吻合が歯状線の口側で行われることから,理論上は術後疼痛がないわけであるが,実際は肛門縁での手術操作に伴う疼痛,環状に切除・吻合することによる牽引に伴う肛門の奥の違和感,疼痛などの訴えが生じる.これら諸症状は通常術当日から翌日の術後早期の期間だけであることから,全周性の脱肛を主訴とする内痔核には現在,最も優れた手術方法と考えている.しかし,片側性の脱肛や外痔核が主体のものには効果は薄く,このような痔に対しては結紮切除術を勧めるか,PPHを行ってみて効果が不十分ならば後日あらためて結紮切除術を追加する旨をよく説明したうえでPPHを施行している.

内視鏡外科トレーニングルーム スーチャリング虎の穴・6

Basic surgeryにおける縫合・結紮

著者: 内田一徳

ページ範囲:P.1557 - P.1562

凍える夏

 いやぁ~寒いですね.え? 何故??? 実はパーテーションで仕切られた私の部屋は広さ3畳そこそこ,しかもエアコン吹き出し口の直下…毎年この時期は凍える足を椅子に乗っけてひたすら耐えています.ほんと,環境って重要ですよね.そこで,前回お話しした内視鏡下手術の環境問題について少し詳しくふれておきましょう.

医学生一日一歩・5

夏だ!休みだ!マッチングだ!―マッチング奮闘記・1

著者: 十菱大介

ページ範囲:P.1563 - P.1565

6年生の夏休み

 今年も夏休みの時期がやってまいりました.私にとって,幼稚園のときから数えるともう20年以上も連続で開催されている,年に一度のビッグイベントです.しかも来年からは開催場所の変更に伴い,大幅な規模の縮小が既に決定されている,とくればこの最後の機会を逃すわけにはいきません.さあ,Let's enjoy it!

 と,例年通りアホのように遊び倒すつもりだったのですが,蓋を開けてみると,そんな余裕はまったくなかったことに今更ながら気がつきました.そう,医学部6年生にとって7月・8月は病院の採用試験の時期なのです.4月にこの連載でマッチングの時期について偉そうに書いておきながらこの始末です.自分で自分を褒めたくない.

病院めぐり

特定医療法人博愛会一関病院外科

著者: 佐藤隆次

ページ範囲:P.1566 - P.1566

 一関市は岩手県の南に位置しており,6市町村が合併した県内で最も広い市で,人口は約12万5千人です.東京まで東北新幹線やまびこ号で2時間40分,仙台と盛岡までは40分弱です.東北地方以外では一関と言ってもピンとくる方は多くなく,中尊寺や毛越寺,藤原三代や源義経で有名な平泉の近くと説明すると,すぐにわかってもらえます.平泉は世界遺産登録に向けて再挑戦の準備を進めています.自然に恵まれ,西には渓谷美の厳美渓(だんごが名物),東には風光明媚な猊鼻渓があります.北上川に注ぐ磐井川が街中をゆったりと流れて,冬には白鳥が飛来してきます.日の出は束稲山から,夕日は須川岳(別名:栗駒山)に沈みます.束稲山は,かつて西行法師が「聞きもせず たばしね山のさくら花 よし野のほかに かかるべしとは」と詠ったほどの桜の名所でしたが,今はつつじが主役です.2008年6月14日に襲った岩手・宮城内陸地震では市街地での大きな被害はなかったものの,須川岳麓の集落をはじめ道路や橋梁は甚大な被害を被り,地域の住民の方々は今なお大変なご苦労をされています.

 当院は1918年に医療法人として開設されました.JR一ノ関駅(駅名は「一ノ関」)からほど近い街中にあって,住民から信頼される地域密着型の「おらほの病院」です.病床数は259床(療養60床)で,常勤医12名,非常勤医12名,職員数は約240名です.

岩手県立二戸病院外科

著者: 坂本隆

ページ範囲:P.1567 - P.1567

 当院の歴史は昭和4年の私立福岡病院の開設に始まり,昭和17年に岩手県信購買利用組合病院,昭和18年に岩手県農業会福岡病院,昭和23年に岩手県厚生連福岡病院と名を変え,昭和25年には岩手県立福岡病院となりました.そして,平成16年5月の新築・移転とともに現名称となり,現在に至っています.病床数は289床で,常勤医師30名に加え,岩手医科大学からを主とした臨時医師の応援によって1日平均患者数:入院236人,外来715人,1か月急患数:1,351人(救急車搬入数124人)に対して診療を行っています(すべて2009年5月の実績).

 対象医療圏はカシオペア連邦(二戸市,一戸町,軽米町,九戸村)の4市町村に青森県南部も含まれ,対象人口は約70,000人となり,圏域における中核的な総合医療機関として機能しています.また,地域がん診療連携拠点病院,臨床研修指定病院,災害拠点病院,日本医療機能評価機構認定病院,県立二戸高等看護学院の教育実習病院などにもなっています.

臨床研究

原発性および転移性肝癌に対する内視鏡下熱凝固療法の治療成績

著者: 木原直貴 ,   木下隆 ,   菅敬治 ,   新田敏勝 ,   鱒渕真介 ,   森田眞照

ページ範囲:P.1569 - P.1576

はじめに

 マイクロ波およびラジオ波焼灼術は肝癌に対する熱凝固療法として普及してきている1).そのなかでも内視鏡下熱凝固療法は経皮的治療の欠点を補い,開胸・開腹下熱凝固療法と同等の治療効果が望める低侵襲治療として注目されている.しかし,その適応は限られ,手技的にも胸腔鏡の使用が必要になるなど煩雑な場合もあり,いまだ確立されていない.

 われわれは,肝細胞癌および転移性肝癌に対する内視鏡下熱凝固療法をより安全で容易に行うために手技に工夫を加えているので,本稿ではその手技を紹介するとともに治療成績を報告する.

狭窄の強い大腸癌患者に対する成分栄養剤経口投与による術前栄養管理

著者: 堀部大輔 ,   丸山尚嗣 ,   夏目俊之 ,   渡辺義二 ,   鍋谷圭宏

ページ範囲:P.1577 - P.1581

要旨:狭窄の強い大腸癌症例に対してelemental diet(ED)を用いた栄養管理を行い,その有用性を完全静脈栄養(total parenteral nutrition:TPN)管理と比較した.【対象と方法】2007年12月から2009年2月の間に当科へ入院した狭窄の強い大腸癌手術症例の20例を対象とした.術前管理にEDを用いた症例は13例,TPNを用いた症例は7例であった.両群間で(1)術前管理上の合併症,(2)入院時および手術2日前に測定した体重,血清レチノール結合蛋白値(retinol-binding protein:RBP),血清プレアルブミン値の推移,(3)術式ならびに術後合併症,術後経口摂取再開までの期間,術後在院日数を比較した.【結果】(1)いずれの術前栄養管理中にも合併症はなかった.入院から手術までの日数も有意差は認めなかった.(2)投与熱量はTPN群のほうが多かったが,栄養指標の推移に両群間で有意差は認めなかった.(3)術式は,TPN群の1例で腹膜播種のため人工肛門造設術のみ施行したが,ほかの19例では予定された切除術を施行することができた.術後合併症発生頻度,術後経口摂取再開までの期間,術後在院日数にも有意差はなかった.【考察】狭窄の強い大腸癌症例の術前栄養管理法として,安全性ならびに栄養指標の推移からEDはTPNに劣らず,標準的に使用し得ると考えられた.

臨床報告

閉塞性動脈硬化症に壊死性筋膜炎を合併して下肢切断に至った透析患者の2例

著者: 柏原秀也 ,   江口大彦 ,   川崎勝己 ,   池田泰治 ,   是永大輔 ,   竹中賢治

ページ範囲:P.1585 - P.1587

はじめに

 壊死性筋膜炎は外科的緊急疾患であり,早期診断が難しく,また感染が浅在筋膜に沿って急速に進展拡大するため,死亡率は6~80%と報告されている1).今回われわれは,下肢閉塞性動脈硬化症の患者に壊死性筋膜炎が合併したため,救命のため下肢切断を施行した透析患者の2例を経験したので,文献的考察を加えて報告する.

腹腔鏡下に腸重積整復を行った青年特発性腸重積症の1例

著者: 藤本武利 ,   林原紀明 ,   小熊将之

ページ範囲:P.1589 - P.1593

はじめに

 小児腸重積症は器質的疾患を持たない特発性腸重積症例が多く,一方,成人腸重積症では器質的疾患を有する例が多い1).今回,青年男性の特発性腸重積症例を経験し,慎重な画像診断のうえ,腹腔鏡下に腸重積整復・盲腸固定術を行ったので報告する.

鼠径ヘルニア術後3年目に発症した遅発性prosthesis感染の1例

著者: 山口敏之 ,   本間崇浩 ,   林征洋 ,   黒岩教和 ,   小松信男 ,   橋本晋一

ページ範囲:P.1595 - P.1599

要旨:症例は78歳,男性.73歳時に鼠径ヘルニアに対してプロリーンヘルニアシステムを使用した手術を受けた.術後3年8か月が経過した頃から右鼠径部に皮膚瘻が出現し,膿様の液体排出が認められるようになったため外来を受診した.外来で抗生物質の投与を行ったが根治には至らず,消褪,再燃を繰り返したためメッシュの摘出を行った.術後に皮下に液体貯留をきたして切開・ドレナージを必要としたが,術後約3週間で退院した.外来で経過観察中であるが,創部の感染徴候やヘルニア再発は認めていない.

腹膜垂による絞扼性イレウスの1例

著者: 上村眞一郎 ,   荒瀬光一 ,   森田圭介 ,   田中栄治 ,   飯坂正義 ,   井上克彦

ページ範囲:P.1601 - P.1604

要旨:患者は70歳代,男性.下腹部痛で当院を受診した.腹部CTで下腹部に限局性の拡張と壁肥厚のある小腸を認め,絞扼性イレウスの診断で緊急手術を施行した.手術所見は,S状結腸の腹膜垂が回盲部の腸間膜に癒着し,それによってできた間隙にトライツ靱帯から280cm肛門側の回腸が約130cmの長さにわたって入り込み絞扼されていた.腹膜垂を切離して絞扼を解除したところ腸管の色調と腸蠕動が回復し,腸切除は行わなかった.腹膜垂が原因となった絞扼性イレウスの報告例は少なく,自験例を含めてイレウスの原因として術前診断された報告はなかった.開腹歴のないイレウスの原因として留意すべきであると思われるため報告する.

集学的治療によって4年8か月生存中の食道原発内分泌細胞癌小細胞型肝転移の1例

著者: 中島真也 ,   日高秀樹 ,   梅北佳子 ,   内山周一郎 ,   片岡寛章 ,   千々岩一男

ページ範囲:P.1605 - P.1610

はじめに

 食道原発内分泌細胞癌小細胞型は比較的稀な腫瘍であり1),進行癌では早期から広範囲に転移をきたすため予後も不良と言われている.なかでも遠隔臓器転移を伴い3年以上生存した症例の報告は稀である.

 今回,外科的切除を含む集学的治療によって長期生存中である食道原発内分泌細胞癌小細胞型の異時性肝転移の1例を経験したので報告する.

乳癌術後23年目に腹腔鏡下胆囊摘出術を契機に発見された乳癌癌性腹膜炎の1例

著者: 小林達則 ,   上山聰 ,   里本一剛 ,   荻野哲也

ページ範囲:P.1611 - P.1616

要旨:患者は69歳,女性で,上腹部痛を主訴に他院から紹介された.46歳のとき,右乳癌(stage ⅡB,T2N1M0)で他院において胸筋合併乳房切除術を受けていた.今回,胆石胆囊炎の診断で腹腔鏡下胆囊摘出術を施行した.腹水は認めなかったが,腹膜や大網に多数の白色の小結節を認め,癌性腹膜炎との診断を得た.結節の病理検査で,23年前に手術された乳癌の腹膜転移と診断された.術後の精査ではほかの部位には転移を認めなかった.CEF療法を4コース行ったのちweekly paclitaxelを4コース施行したところCA125とCA15-3の腫瘍マーカーは低下し,その後はアロマターゼ阻害剤によるホルモン療法を継続した.術後1年が経過した現在,腹部症状はなくperformance status(PS)も良好である.

自壊したため緊急手術を行った巨大乳腺葉状腫瘍の1例

著者: 佃和憲 ,   中原早紀 ,   辻尚志 ,   池田英二

ページ範囲:P.1617 - P.1621

はじめに

 乳腺葉状腫瘍は原発性乳腺腫瘍の0.3~0.9%の比較的稀な腫瘍である1).増大が早く巨大になることもあるが,5kgを超える葉状腫瘍の報告例は数例程度である2)

 今回われわれは,自壊したため緊急手術を行った巨大葉状腫瘍を経験したので,若干の文献的考察を加えて報告する.

ヘルニア腫瘍を合併した進行胆囊癌が疑われた1例

著者: 坂口博美 ,   藍澤喜久雄 ,   松下明正 ,   熊木俊成 ,   久保周 ,   春日好雄

ページ範囲:P.1623 - P.1627

要旨:患者は70歳,男性.左鼠径ヘルニアの診断で紹介された.通常のヘルニアと異なり,鼠径部に2.0×1.5cmの無痛性,非還納性の硬い腫瘤を触知し,血液検査では胆道系酵素の上昇とCEA,CA19-9の上昇を認めた.CT検査では鼠径管内の腫瘤影および胆囊頸部とその近傍の肝臓に腫瘤影を認めた.ほかに悪性腫瘍を示唆する所見はなく,胆囊癌の鼠径部転移を疑った.診断確定のため手術を施行したところ,腫瘤をヘルニア内容とする鼠径ヘルニアであった.摘出した腫瘤は病理組織学的には腺癌であった.以上から,ヘルニア腫瘍を合併した進行胆囊癌の疑いと診断した.ヘルニア囊に腫瘤を触知するときは,悪性腫瘍または悪性腫瘍の腹膜播種巣を考慮して術前診断を進める必要がある.

書評

Uwe Fischer,Friedemann Baum,Susanne Luftner-Nagel(著)/角田博子,東野英利子(監訳)「わかる!画像診断の要点シリーズ8 わかる!乳腺画像診断の要点」

著者: 園尾博司

ページ範囲:P.1554 - P.1554

 このたび,角田博子,東野英利子両先生の監訳による「わかる!乳腺画像診断の要点」が発行された.本書の原本はドイツ語で書かれていたものであり,その英語版を日本語に翻訳したものである.

 本書の特徴のひとつは,日常臨床で遭遇する乳腺疾患や手術を含めた外傷後の変化をはじめ,まれな良性・悪性疾患に至るまで網羅的に,3つの画像(超音波,マンモグラフィ,MRI)が提示されている点である.わが国ではMRIが,超音波,マンモグラフィとともにすべての疾患に提示されている教科書はなく,MRIが広く普及しているドイツの教科書らしい特徴であり,貴重である.もうひとつの特徴は,各疾患とも,概要,画像所見,臨床事項(症状,治療,経過と予後),鑑別診断,診断のポイントとピットフォールに分けて要点が短く記述されているので読みやすく,随所に頻度が明確に記述されているので理解しやすい.

小泉 潔(著)「カラーアトラス胸腔鏡下肺癌手術―イラストとDVDで学ぶ術式のポイント」

著者: 白日高歩

ページ範囲:P.1568 - P.1568

 著者の日本医科大学呼吸器外科・小泉潔教授は我が国における胸腔鏡下肺癌手術の代表的な権威者のお一人として有名である.先生はそれ以前のオーソドックスな開胸手術の時代から,この胸腔鏡による肺癌手術に至るまでの2世代にわたる呼吸器外科の歴史に身を置かれ,その奥儀を究められた外科医の一人である.

 1980年代頃隆盛となった胸腔鏡手術は当初,自然気胸に対するブラ切除を対象に爆発的に広まったが,すぐに呼吸器外科医すべてが熱心に取り組む肺癌に応用されるに至り,いわゆるVATS Lobectomyとして日本全体に流布することとなった.大きな皮膚切開を行わずに出来る限り小さな傷(ポート孔ならびに操作用切開創)で肺癌手術を完遂出来る胸腔鏡下手術は,いわば今日の時代的要請であり,特に最近のように小型~微小肺癌が大部分を占める時代においては,さらに難しい区域切除の手術も胸腔鏡下に実施することが求められる状況である.本書は肺癌の発生部位別に葉切除,全摘,区域切除の各胸腔鏡手技を分かりやすく解説しており,これから胸腔鏡下に肺癌手術をやってみようとする若手胸部外科医にとっては必見の書と考えてよい.

李 啓充(著)「続 アメリカ医療の光と影―バースコントロール・終末期医療の倫理と患者の権利」

著者: 武井麻子

ページ範囲:P.1582 - P.1583

 日本では今,臓器移植法の改正をめぐってさまざまな論議がなされている.その大きな焦点は「脳死は人の死か」という問題である.しかし,こうした議論には大きな落とし穴があることを教えてくれるのが,本書である.まさにタイムリーな出版といえよう.

 本書は『アメリカ医療の光と影―医療過誤防止からマネジドケアまで』の続編である.著者はほかにも『市場原理が医療を亡ぼす―アメリカの失敗』『市場原理に揺れるアメリカの医療』といった,一連のアメリカの現代社会のひずみを医療という側面から報告している.それらは,アメリカ医療の内部にコミットした人ならではの情報に満ちているが,しかしそれを読めば,著者が本当に伝えたいのはアメリカではなく日本の医療の将来への危機感であり,日本社会への警告なのだということがわかる.「命の沙汰も金次第」という社会の到来を黙って見ていていいのかという警告.

安達洋祐(編)『外科の「常識」―素朴な疑問50』

著者: 武藤徹一郎

ページ範囲:P.1600 - P.1600

 本書は『臨床外科』誌に連載され好評だった「外科の常識・非常識:人に聞けない素朴な疑問」に,番外編として12の設問を加えて一冊にまとめたものである.精選された設問と適切な解答のおかげで,小冊子ながら大変内容の濃い興味深い本に仕上がっている.内容に引かれて,しっかりと初めから終わりまで読まされるほど面白かった.

 本書の第一の特色は執筆者が2名の例外(昭和38年卒1名と病理医1名)を除いて平成14年から昭和44年の間の卒業で,いずれも若く第一線で活躍している現役の外科医だということである.彼らが各設問に関する文献をよく調べて解答してくれているので,期せずして文献的知識を豊富にすることができる.

霞 富士雄(著)「乳がん視・触診アトラス」

著者: 秋山太

ページ範囲:P.1610 - P.1610

 まさに圧巻である.本書を開いてしばらく言葉が出なかった.名医・霞富士雄先生らしい本だと思った.

 癌研では写真室(高野勝美氏,佐恕賀一男氏,加藤茂晴氏)の協力により,多忙を極める日々の診療の中で患者さんの写真が撮影されている.学会や雑誌での症例報告の際にその写真が使用されるが,このような本として世の中に出てくるとは想像もできなかった.膨大な数の非常にきれいで貴重な写真は保存されているものの,臨床情報との照らし合わせの作業や編集作業には想像を絶するご苦労があったと思う.本書のはしがきにそのご苦労がにじみ出ている.

ひとやすみ・53

手術患者さんへのプレゼント

著者: 中川国利

ページ範囲:P.1562 - P.1562

 人はささやかでもプレゼントをいただくと嬉しく思うものである.そこで私は,手術を受けた患者さんにプレゼントをあげることにしている.手術の記念品として切除した標本の写真を,しかも胆石例では結石付きである.

 かつて,摘出した結石はすべて病理室に保管していた.そして,いつかは結石の成分分析などの臨床研究をしようと思っていたが,日々の診療の忙しさに放置していた.年に250例ほど胆石の手術を行うと膨大な標本数になった.ついに,管理をする検査技師さんから「保管場所が狭いため何とかしてください」と懇願された.そこで,講演などで提示するために必要な典型的な石や珍しい石を除き,廃棄することにした.また,それ以後からは,摘出した結石を透明なケースに入れて患者さんにあげることにした.

昨日の患者

同期の桜

著者: 中川国利

ページ範囲:P.1583 - P.1583

 古来から日本人は桜に種々の想いを寄せることが多い.紀友則は「久方の光のどけき春の日に しづ心なく花の散るらむ」,また西行法師は「願わくは花の下にて春死なむ その如月の望月のころ」と詠んだ.そして,私が主治医を務めたNさんも桜にまつわる思いを語ってこの世を去った.

 Nさんは小学校に入学したときに,同級生と校庭の周囲を桜並木にすべく桜を植えた.支柱を立て,朝晩水をかけて桜の生長を見守った.そして,大きく繁った桜の下で鬼ごっこや縄跳びをして遊んだ.また,木陰で本を読み,時にまどろんだ.長じてNさんは母校の教師となった.桜とともに新入生を迎え,そして教え子らを送り出した.また,入学式や卒業式などの記念行事には桜並木を背景に写真を撮った.さらには桜の下で出征する兵士を見送り,そして白木の箱を迎えた.

勤務医コラム・6

笑えない話

著者: 中島公洋

ページ範囲:P.1594 - P.1594

 2009年3月にメキシコで発生した新型インフルエンザは4月に米国やヨーロッパへ拡がった.日本では厚生労働省の水際作戦も空しく,5月には神戸,大阪で集団発生し,当院のような末端病院へも連日,governmentalな各組織からの指導通達Faxが届いていた.新聞には,市役所職員による防護服着脱訓練の様子が写真入りで出ていた.

 その最中の夜10時,当院で当直していた外科4年目のF君は39℃の発熱を主訴とする31歳の男性を外来診察した.渡航歴なし,初診であったが,念のためのキットで検査したらA型陽性だったので,驚きつつも通達に従って○○へTELした.

1200字通信・7

学会版「虎の穴」

著者: 板野聡

ページ範囲:P.1622 - P.1622

 学問の進歩に伴い,新しい学会が創立されることになりますが,その1つに日本内視鏡外科学会があります.元より内視鏡下という特殊状況での外科だけに,結紮や縫合といった技術指導に学会みずから力を入れており,その1つに学会主催の講習会があります.先日,私もやっと日程と開催場所の組み合わせが合い,参加してきました.

 今回の当番コーディネーターである杏林大学の森俊幸先生から開会の挨拶があったのち,いきなりドライボックスで結紮実技のタイム計測となりました.これは,講習の前後でどれくらい時間短縮ができるかを計測し,講習の成果を具体的に評価するためとのことでした.私は,少しはできるつもりで挑みましたが,見事に出鼻をくじかれる結果となり,「だからここに来たのだ」と自分を慰めながらも,悔しい思いをすることになりました.

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あとがき

著者: 島津元秀

ページ範囲:P.1632 - P.1632

 本号の特集である「転移性腫瘍」で思い起こすのは,山崎豊子が40年以上も前に書いた『白い巨塔』である.遠隔転移をきたした悪性腫瘍は根治がほとんど絶望的で,ひたすら延命効果をはかる治療計画が立てられなければならないのに,主人公の国立浪速大学附属病院第1外科教授である財前五郎は噴門部癌患者の肺転移を見落としたまま胃全摘術を行った.患者は術後,胸部転移巣の急速な増悪をきたして癌性肋膜炎のために手術死亡し,財前はその当時としては稀であった医事裁判の被告となる.地裁の第1審では無罪となったが控訴され,高等裁では逆転して有罪判決を受ける.その時,財前は言い放った.「最近,医療過誤が社会問題化しつつある時に,こんな判決がまかり通るとなれば今後,多くの医師は,積極的な診療を尻込みするだろう,医療の本質には,常に或る程度の危険が内在しており,われわれ医師は,絶対,悪意なき過失を侵さぬとは云い難い,(中略),このままでは医学界全体が“為さざるに如かず”の萎縮医療になる危険がある」

 財前の言葉はそれから40年経った現在でも新鮮であり,医療紛争が日常化し外科医が減少傾向にある今日,あらためて医療側から巻き起こっている.この論理そのものには一理あり,多くの医師が支持すると思われる.しかしながら,山崎豊子が悪役として描いた財前は患者の死を悼むことなく,また,不誠実な対応が患者側の不信を招いたことに思いを致すこともなかった.ただ保身のために自身の過失を隠蔽したうえで,この発言を行った.医師の論理が患者に受け入れられるためには,その姿勢・行動が患者の納得のいくものではならないのは昔も今も同じである.医学が進歩して,転移性腫瘍を含め,不治と云われる疾患がたとえ完全に治癒できる世の中になったとしても.

基本情報

臨床外科

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN 1882-1278

印刷版ISSN 0386-9857

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