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文献詳細

雑誌文献

臨床外科64巻13号

2009年12月発行

勤務医コラム・7

化学療法数え唄

著者: 中島公洋1

所属機関: 1慈仁会酒井病院外科

ページ範囲:P.1764 - P.1764

文献概要

 われわれの本職である手術の成否はとても明からさまなものであり,うまくいけばいったなりの,うまくいかなかったらいかなかったなりの理由というものがあり,それを自覚できます.それに引きかえ化学療法は不思議です.化学療法というものはどうしてあんなに効かないのでしょうか.そしてたまに,どうしてあんなに効くのでしょうか.その理由を自覚できないのです.私は外科医になって27年になります.手術も化学療法もたくさんやらせてもらいました.手術のほうはそれなりに見通しがつくのですが,勉強不足のためか,化学療法は全く見通しがつきません.暗中模索ながらいろいろやってきて,化学療法の経験則みたいなものを綴ってみました.

 ①本に書いてあっても,先輩が言ったことでも,実際にやってみなけりゃわからない.②副作用を出したら負け.患者がついてこなくなる.③Doseの適量は患者によって大違い.④PRを喜ぶなかれ,そのあとが大事.癌を治療しすぎるな.⑤副作用のないlong NCがbest.⑥PR・CRなのに短命とはこれいかに? ⑦PDなら何もしないか薬を変える.⑧無用な検査をしない.顔色をよくみること.⑨経口剤で戦うのは,現時点では難しい.もしも効いたら大ラッキー.⑩痛い検査は×.⑪面到なレジメンも×.⑫夜間投与はよさそうだ.⑬患者からの信頼はプラセボ効果を生む.⑭小利口な人には薬が効かぬ.⑮糖尿は化学療法の敵.⑯外来で細く長く,入院で太く短く.⑰腫瘍マーカーも大事だが,リンパ球/単球比も大事.⑱たまに保険認可の枠からはみ出してしまうこともやむなし.⑲窓口負担を月1~2万円に抑えたい.抑えきれないときは説明を.⑳はやりものには落とし穴あり.一昔前のやり方もエエもんや.

 偉そうなことを書きましたが,私と同年代の外科の先生方なら誰でもこのくらいのことは考えているのではないでしょうか.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1278

印刷版ISSN:0386-9857

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