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臨床報告・1
Gemcitabine投与で肝転移巣が消失し,原発巣の切除を行った膵粘液性囊胞腺癌の1例
著者: 桒田和也1 村岡篤2 小林正彦2 國土泰孝2 立本昭彦2 津村眞2
所属機関: 1日本鋼管福山病院外科 2香川労災病院外科
ページ範囲:P.697 - P.701
文献購入ページに移動膵癌はわが国において増加傾向にあり,年間死亡者数は2万人を超え,今後ますます増加するものと思われる.膵臓は後腹膜臓器であり症状が出現するまで時間を要することが多いため,癌が発生しても早期に発見することが非常に困難である.また膵臓は,胃,十二指腸,脾臓,小腸,大腸,肝臓,胆囊など多くの臓器に囲まれているという解剖学的な背景もあり,初期の頃からほかの臓器への転移を生じやすいという性質がある.したがって,発見時には外科切除が不可能である症例も少なくない.膵臓癌全体の5年生存率は5%以下にすぎず1),予後の改善には全身療法としての化学療法の治療成績向上が期待される.
今回われわれは,膵粘液性囊胞腺癌による肝転移巣が術前化学療法で画像上消失し,原発巣の切除を行った1例を経験したので,これを報告する.
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