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文献詳細

雑誌文献

臨床外科64巻6号

2009年06月発行

文献概要

臨床報告・1

内視鏡的切開拡張術にて改善を認めた直腸癌術後縫合不全による吻合部狭窄の1例

著者: 岡田慶吾1 今泉理枝1 松村知憲1 松本裕史1

所属機関: 1羽生総合病院外科

ページ範囲:P.841 - P.844

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はじめに

 直腸癌においては近年,診断技術とdouble stapling technique(以下,DST)など手術手技の向上に伴い肛門括約筋機能温存手術症例が増加している1).しかし器械吻合による直腸低位前方切除術後の縫合不全は3%あり,その過半数に吻合部狭窄を認めるとされる2).再手術は永久的人工肛門を造設しなくてはならない場合もあり,患者のQOLを著しく低下させ得る3).今回われわれは,パピロトームとバルーンを用いて内視鏡的に狭窄部切開拡張術を施行し,改善を認めた症例を経験したので,若干の文献的考察を加えて報告する.

参考文献

1)Varma JS, Chan AC, Li MK, et al:Low anterior resection of the rectum using a double stapling technique. Br J Surg 77:888-890, 1990
2)幕内雅敏:消化管吻合部狭窄の新しい治療.手術 57:511-518,2003
3)渡邉聡明,武藤徹一郎:大腸手術後の縫合不全,吻合部狭窄に対する処置.手術 53:987-991,1999
4)知久 毅,佐野 渉,新村兼康,他:内視鏡下にパピロトームで切開治療した直腸癌術後吻合部狭窄の3症例.Gastroenterol Endosc 44:1960-1964,2002
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8)北郷邦昭,村上三郎,寺角匡弘,他:器械吻合創の治癒過程.消外 23:1509-1513,2000
9)唐木洋一,伊藤雅昭,齋藤典男:直腸癌に対する低位前方切除に予防的Diverting stomaは必要か? 千葉医誌 82:231,2006
10)荒能義彦,平野 誠,村上 望,他:Tissue Plasminogen Activator(TPA)による急性期血栓溶解療法が有効であった骨盤内膿瘍術後肺塞栓症の1例.外科診療 38:1457-1460,1996

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1278

印刷版ISSN:0386-9857

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