icon fsr

文献詳細

雑誌文献

臨床外科64巻6号

2009年06月発行

文献概要

臨床報告・1

横隔膜直下再発肝細胞癌に対し人工気胸・人工気腹併用リピオドール塞栓CTガイド下ラジオ波焼灼術が有効であった1例

著者: 山岡延樹1 宮川公治1 矢田善弘1 相良幸彦1

所属機関: 1西陣健康会堀川病院外科

ページ範囲:P.855 - P.860

文献購入ページに移動
はじめに

 経皮的ラジオ波焼灼療法(radiofrequency ablationtherapy:以下,RFA)は,肝細胞癌(hepatocellular carcinoma:以下,HCC)に対する低侵襲な局所治療法として急速に広まった.超音波ガイド下に経皮的穿刺を行う方法が最も汎用されているが,超音波の死角となりやすい横隔膜下病変に対しては明瞭な画像を捉えるための工夫として人工胸水を併用する方法が開発され,普及している1,2)

 今回,横隔膜直下肝S8に発生したHCCに対し,人工胸水併用超音波ガイド下にRFAを行ったが4か月後のCTで局所再発を認めたため,十分な焼灼と合併症の回避を目的として,リピオドール塞栓後CTガイド下に多数回のRFAを人工気胸・人工気腹(腹腔鏡)を併用して行った症例を経験したので報告する.

参考文献

1)片山和宏,柄川悟志,前山晋吾,他:横隔膜直下肝細胞癌に対する診断と治療の新しいアプローチ法:人工胸水法(Artificial pleural effusion method)による検討.肝臓 40:268,1999
2)椎名秀一朗:人工胸水の作成法.小俣政男(監):ラジオ波焼灼療法―安全で効果的な肝癌治療テクニック.医学書院,2005,pp119-122
3)坂部龍太郎,山下芳典,平林直樹,他:肝細胞癌に対する経皮的ラジオ波焼灼療法後に発症した横隔膜ヘルニア嵌頓の1例.日消外会誌 41:93-98,2008
4)黒崎 亮,若井俊文,白井良夫,他:肝細胞癌に対する経皮的ラジオ波焼灼療法による遅発性横隔膜ヘルニア嵌頓の1例.日消外会誌 41:593-598,2008
5)椎名秀一朗:人工腹水の作成法.小俣政男(監):ラジオ波焼灼療法―安全で効果的な肝癌治療テクニック.医学書院,2005,pp123-126
6)山崎隆弘,木村輝昭,浦田洋平,他:肝細胞癌に対する新しいバルーンマイクロカテーテルを用いたリピオドール併用肝動脈バルーン閉塞下ラジオ波凝固療法.肝臓 45:505-506,2004
7)Kitamoto M, Imagawa M, Yamada H, et al:Radiofrequency ablation in the treatment of small hepatocellular carcinomas:comparison of the radiofrequency effect with and without chemoembolization. AJR Am J Roentgenol 181:997-1003, 2003
8)佐藤英博,浜田 茂,下河邉智久,他:原発性肝癌 人工気胸下経胸腔アプローチによるCTガイド経皮RFA. J Microwave Surg 26:95-99,2008
9)安部栄治,安部真理:横隔膜直下の肝細胞癌に対する腹腔鏡下経皮的経胸腔的ラジオ波焼灼術中に発生した気胸の1症例.麻酔 56:1190-1192,2007

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1278

印刷版ISSN:0386-9857

雑誌購入ページに移動
icon up
あなたは医療従事者ですか?