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あとがき
著者: 宮崎勝
所属機関:
ページ範囲:P.868 - P.868
文献購入ページに移動 今回の特集は「消化器癌外科治療のrandomized controlled trial(RCT)」というテーマでお送りする.近年,医学論文のエビデンスレベルが色々と規定され,このRCTなるものが高いエビデンスレベルに値する研究といわれてきており,多くの外科医もこれにならって様々なRCTによる研究を進めてその結果を発信するようになってきている.もちろん,この臨床研究におけるRCTが比較対照群の設定などにおいてこれまでのretrospective studyに比べてより信頼性の高い結論を導きだせることは間違いないことであろう.しかし,RCTもときに同じ研究目的で行われたにもかかわらず,正反対あるいはほかのRCTの結果を否定するような答えを導きだしている報告をしばしばみかける.このことは,とりもなおさず1つ2つのRCTの結果によってはcontroversyとなっている現況の課題を結論づけることはできないということを強く認識させるものであろう.われわれ臨床医はRCTの意義,重要性についてはもちろん認知するべきではあるが,その評価については常に慎重であるべきであろう.また外科手技についての妥当性および臨床的意義を検討する際のRCTの困難性はしばしばわれわれの経験するところである.新たな手術手技の開発などは,retrospectiveな症例研究解析から創造されるアイデアが端緒となる.そのような症例研究の重要性を外科医は決して忘れてはならない.もちろん,新たな術式が開発され安全性も確保されたのちには,その臨床的意義についてRCTを含めた質の高い研究が実践されていくことは当然であろうが,そのseedたる独創性の高いものを生むアイデア,創造性は日々の現場臨床に潜んでいることを忘れてはならないであろう.
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