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文献詳細

雑誌文献

臨床外科64巻7号

2009年07月発行

文献概要

ロンドン外科学史瞥見・3

防腐法の創始者リスターの足跡を辿る

著者: 佐藤裕1

所属機関: 1誠心会井上病院外科

ページ範囲:P.947 - P.951

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はじめに

 最近の若い外科医達に「リスターはどういう人物か」と尋ねて,はたしてどれだけの者が「石炭酸(フェノール)を用いた防腐法を創始することによって外科学界に一大転換をもたらしたイギリスの外科医である」と答えられるであろうか.以前に筆者の母教室の教授と話をする機会があったが,「最新の外科学を講義することで手一杯で,重要だとは思うが外科学の歴史を教える時間がとれない」ということであった.今回紹介するリスター(Joseph Lister:1827~1912年:図1)が外科学の歴史をして「pre-Listerian」と「post-Listerian」という表現で区分せしめるほどの功績があった重要人物であるにもかかわらず,にである.言い方を変えると,フェノールを用いた防腐法が麻酔法の開発とともに外科学の進歩を押し進める大きな原動力となったにもかかわらず,にである.

 そのようなわけで,2008年9月の筆者のロンドン行きの目的は,第1回(64巻5号)で述べたジョン・ハンターと今回のリスターの現地ロンドンでの顕彰状況の取材と関連資料の収集であった.そして,実際に現地に赴くと,やはりと言うべきか当然と言うべきか,防腐法の創始によって外科学に一大革新を起こしたリスターは,母国イギリスにおいてジョン・ハンターに勝るとも劣らずにきちんと顕彰されていた.

参考文献

1)Lister and the ligature:A Landmark in the History of Modern Surgery. New Brunswich, Johnson & Johnson, 1925
2)Graham H:The History of Surgery. New York, Doubleday, Doran & Company Inc, 1939
3)Meade RH:An Introduction to the History of General Surgery. Philadelphia, London, Toronto, WB Saunders Company, 1968
4)Zimmerman LM, Veith I:Great Ideas in the History of Surgery. Baltimore, Williams & Williams Company, 1961
5)Wangensteen OH, Wangensteen S:The Rise of Surgery from Empiric Craft to Scientific Discipline. Kent, Wm Dawson & Sons, 1978
6)Ellis H:Operations that made History. London, Greenwich Medical Media, 1996
7)Ellis H:A History of Surgery. London, Greenwich Medical Media Limited, 2001
8)Simmons JG:Doctors & Discoveries. Lives that created Today's medicine from Hippocrates to the present. Houghton Boston & New York, Mifflin Company, 2002
9)シャーイン・B・ヌーランド:曽田能宗(訳):医学をきずいた人びと(下)名医の伝記と近代医学の歴史.河出書房新社.1991

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1278

印刷版ISSN:0386-9857

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