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手術手技
中等度胆囊炎に対する腹腔鏡下手術―術前ENBD tube留置の有用性
著者: 野島広之1 勝浦譽介1 志田崇1 寺本修1 宮崎勝2
所属機関: 1小見川総合病院外科 2千葉大学大学院医学研究院臓器制御外科学
ページ範囲:P.1007 - P.1011
文献概要
胆囊炎に対して腹腔鏡下胆囊摘出術(laparoscopic cholecystectomy:以下,LC)は標準術式であるが1),高度炎症を伴う胆囊炎やMirizzi症候群においては胆管損傷などの合併症の危険性が高くなる.胆管損傷を回避するための方法として術中画像診断法が挙げられるが,従来のように胆囊管を切開してtubeの挿入を行う手技では総胆管の切断は防げるにしても,総胆管であった場合は切開した部分を修復する必要があり,修復が腹腔鏡下では困難な場合には開腹に移行せざるを得ない.
われわれは1地域病院として中等度の胆囊炎症例に対し,より安全にかつ確実にLCを遂行するための工夫として,総胆管と胆囊管の位置関係を把握するためにendoscopic nasobiliary drainage tube(以下,ENBD tube)を術前に留置して術中ナビゲーションとして用い,術中胆管損傷の合併症を回避させることができた.本稿ではその手技を症例と合わせて報告する.
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