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文献詳細

雑誌文献

臨床外科64巻8号

2009年08月発行

臨床報告

腸閉塞にて発症し,術前診断が可能であった回腸子宮内膜症の1例

著者: 西野豪志1 谷田信行1 大西一久1 藤島則明1 浜口伸正1 開発展之1

所属機関: 1高知赤十字病院外科

ページ範囲:P.1165 - P.1168

文献概要

はじめに

 腸管子宮内膜症は子宮内膜組織が腸管に異所性に発生,増殖・浸潤し,周囲組織と強固な癒着を形成する疾患である.卵巣や骨盤腹膜に発生するが,腸管に発生することも少なくなく,全子宮内膜症の約12%を占めるといわれている1).腸管子宮内膜症の約90%が直腸,S状結腸に発生し,小腸での発生は7%と比較的稀である2)

 術前診断は困難であることが多く,切除後に診断されることがほとんどである.今回われわれは,腸閉塞を発症し,術前に回盲部に発生した腸管子宮内膜症と診断され,回盲部切除術を施行した1症例を経験したので報告する.

参考文献

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掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1278

印刷版ISSN:0386-9857

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