icon fsr

文献詳細

雑誌文献

臨床外科64巻9号

2009年09月発行

文献概要

臨床報告

回盲部単純性潰瘍の術後再発に対して保存的治療が奏功した1例

著者: 小原靖尋1 高橋秀光1 今田俊哉1 門馬公経1 福田武隼1

所属機関: 1福田記念病院外科

ページ範囲:P.1277 - P.1281

文献購入ページに移動
はじめに

 単純性潰瘍は保存的治療に抵抗し,難治性で外科的切除が行われることが多い.しかし,術後の再発率も高く1),再発後も治療に苦慮する症例も少なくない.今回,メサラジン(mesalazine:以下,5-ASA)およびプレドニゾロン(prednisolone:以下,PSL)の投与に加え,内視鏡的に無水エタノールの散布(absolute ethanol spraying:以下,AES法)を行ったが悪化した術後再発単純性潰瘍の1例を経験した.これに対してアザチオプリン(azathioprine:以下,AZA)の併用投与と栄養療法の併施が奏功し,潰瘍が治癒したので報告する.

参考文献

1)村野直子,平田一郎,村野実之,他:腸型Behçet病と単純性潰瘍における難治群の検討.胃と腸 38:201-208,2003
2)渡辺英伸,遠城寺宗知,八尾恒良:回盲弁近傍の単純性潰瘍の病理.胃と腸 14:749-767,1979
3)多田正大,田中義憲,陶山芳一,他:再発様式を経過観察しえた回盲部単純性潰瘍の4例.日消誌 80:1636-1640,1983
4)貴島芳彦,山本光成,榎本平之,他:単純性腸潰瘍5症例の検討.Gastroenterol Endosc 44:780-787,2002
5)Kasahara E, Yamagishi N, Tanaka M, et al:A child with simple ulcer of the colon effectively treated with the combination of prednisolone, azathioprine, and pentoxifylline. J Gastroenterol 37:745-749, 2002
6)小野雅美,村上和成,織田麻奈美,他:潰瘍性大腸炎緩解期の回盲部に単純性潰瘍が発生した1例.日消誌 102:894-899,2005
7)竹本尚史,岡本哲郎,高山哲治,他:Cyclosporin Aが奏効した回盲部Simple ulcerの一例.リウマチ 41:512,2001
8)月岡 恵,鈴木 雄,森 茂紀,他:栄養療法が奏功した回盲部単純性潰瘍の1例.日消誌 87:1074-1077,1990
9)松川正明,山本栄篤,宮本彰俊,他:腸管Behçet病・単純性潰瘍.胃と腸 43:597-601,2008
10)高木靖寛,八尾恒良,松井敏幸,他:単純性潰瘍および腸型Behçet病のX線,内視鏡所見の検討.胃と腸 38:229-242,2003

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1278

印刷版ISSN:0386-9857

雑誌購入ページに移動
icon up
あなたは医療従事者ですか?