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文献詳細

雑誌文献

臨床外科65巻1号

2010年01月発行

文献概要

カラーグラフ エキスパート愛用の手術器具,手術材料・13

膵切除(再建を含む)に愛用の手術器具・材料

著者: 木村理1

所属機関: 1山形大学医学部第1外科

ページ範囲:P.5 - P.14

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はじめに

 膵切除術と言っても,膵頭十二指腸切除術や膵体尾部切除術のほかにも膵の中央切除術や十二指腸温存膵頭亜全摘術,脾臓脈を温存した脾臓温存膵体尾部切除術などがあり,様々である.また,それぞれに切除範囲やリンパ節郭清,再建方法など様々な程度の術式が存在する.膵頭十二指腸切除術の再建方法をみても,膵と消化管の吻合は1期的か2期的か,再建の順序は胃→膵→胆か膵→胆→胃か,粘膜・粘膜吻合法か嵌入法か,輸入脚空腸を吊り上げる経路は後腸間膜経路か,前結腸経路かあるいは後結腸経路か,これらを膵の固さ・疾患の種類によって変えるか変えないかなど,細かな点を挙げるときりがない.

 膵頭十二指腸切除術のバリエーションはますます増えている.まさに,「外科医が100人いれば100通りの膵頭十二指腸切除術がある」と言っても過言ではない1).このことは,しかし,どの方法をとってみてもそれほど大きな違いはないという証左にほかならない.ずば抜けて素晴らしい切除法,吻合法,再建法があるわけではないということである.術前・術後の管理やnutrition support team(NST)による経腸栄養に対する見直し・早期の施行,経静脈栄養などの輸液管理の発達,縫合糸や手術器具の改良などによって膵頭十二指腸切除術は以前に比べて比較的安全に行われるようになってきた.それでも全世界的には手術死亡率は1.4~4.9%と報告されており2),外科医の工夫は続いている.

 膵頭十二指腸切除術について論ずるうえで,このように様々な点に焦点を当てることができる.本稿では,膵手術を施行する際の器具とその使用方法について述べる.

参考文献

1)Kimura W:Strategies for the treatment of invasive ductal carcinoma of the pancreas and how to achieve zero mortality for pancreaticoduodenectomy. J Hepatobiliary Pancreat Surg 15:270-277, 2008
2)木村 理:膵頭十二指腸切除術.消外 31:2015-2028,2008

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1278

印刷版ISSN:0386-9857

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