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雑誌目次

雑誌文献

臨床外科65巻10号

2010年10月発行

雑誌目次

特集 乳糜胸水・腹水を考える―その原因と対策

ページ範囲:P.1341 - P.1341

乳糜胸水・腹水は比較的稀な病態であるが,その病態の把握や治療には難渋することが少なくない.しかし,日常臨床でしばしば遭遇するものでもないため,まとまった解説書は少ない.論文を検索しても,多数例を分析したものは見当たらず,症例報告がほとんどである.

今回,このような稀ではあるが重要な病態である乳糜胸水・腹水について,その貴重な経験に基づいてこれまで論文報告をされてきた先生方に,改めて考察を述べていただいた.広範で多彩な領域からのレポートで構成する特集となったが,共通の病態・治療の工夫,また領域ごとの違いといったものが鮮明になれば,どの領域を担当されている医師にとっても極めて有用な情報となるのではないだろうか.

〔リンパ管・リンパ液の基礎知識〕

リンパ管の外科解剖

著者: 宮崎達也 ,   宗田真 ,   田中成岳 ,   鈴木茂正 ,   家田敬輔 ,   酒井真 ,   佐野彰彦 ,   猪瀬崇徳 ,   中島政信 ,   福地稔 ,   加藤広行 ,   桑野博行

ページ範囲:P.1342 - P.1345

要旨:リンパ管は毛細リンパ管から集合・合流してリンパ本幹となり,さらに胸管,右リンパ本幹としてリンパを静脈系に戻している.術中の操作によりリンパ管を損傷すると乳糜胸水・腹水を発症することがあり,治療に難渋することがある.その要因と,生理,解剖を理解することで,このような合併症を可及的に回避することが重要である.本稿では,外科手術において必要なリンパ管の解剖について概説する.

外科医に必要なリンパ液の生理・生化学的知識

著者: 四方裕夫

ページ範囲:P.1346 - P.1349

要旨:成人の乳糜の生産量は1,500~2,500mlであり,小腸上皮細胞から放出され,長鎖脂肪酸,カイロミクロンがリンパ管に入り,胸管を経由して鎖骨下静脈で体循環へ流入する.乳糜は長鎖脂肪酸,カイロミクロンがその主体であり,組成は血清にほぼ等しく,食餌だけでなく交感神経・副交感神経などの自律神経がリンパ流に影響を及ぼす.このカイロミクロンを主としたリンパ液の経路に多くの場合損傷が生じて胸腹腔内に漏れ出たものが,乳糜胸水・乳糜腹水である.外科医が遭遇する稀な合併症ではあるが,遭遇した場合には治療に難渋することが多い.白い排液の鑑別には,乳糜であれば,ズダンⅢ染色で脂肪粒子の粒状乳糜がオレンジ色を呈する.また,乳糜にエーテルを加え混合振動すると透明となり(エーテル溶解試験),乳糜であることが判明する.

乳糜瘻の診断方法―リンパ管造影・リンパシンチグラフィ

著者: 奥山智緒 ,   松本知博 ,   山上卓士 ,   松島成典 ,   西村恒彦

ページ範囲:P.1350 - P.1355

要旨:保存的治療に反応しない乳糜瘻については,外科的治療が選択される.この術前に乳糜瘻の瘻孔部位を診断しておくことは非常に重要であり,このために施行するリンパ管造影やリンパ管シンチグラフィは,現在でも欠くことのできない検査法である.また,近年ではリンパ管造影が乳糜瘻に対する治療法の選択肢の1つとなり得るのではないかという報告もみられる.本稿では,リンパ管造影とリンパ管シンチグラフィの手技や画像所見などについて,実際の乳糜瘻症例を提示し概説する.

〔乳糜胸水・腹水をきたす疾患を理解する〕

乳糜胸水をきたす疾患の病態

著者: 森貴紀 ,   高橋和久

ページ範囲:P.1356 - P.1359

要旨:乳糜胸とは,腸壁より胸管に流入するカイロミクロンやリポプロテインを含んだ白濁したリンパ液が,いろいろな原因によって胸腔内に貯留した状態をいう.乳糜胸は比較的稀な疾患であるが,その原因として,外傷性,非外傷性,腫瘍性などがあり,病態の理解,診断に苦慮することが多い.そこで理解を深めるために,本稿では概念,原因,病態,診断,治療について概説する.

乳糜腹水をきたす疾患の病態

著者: 山本憲彦 ,   竹井謙之

ページ範囲:P.1360 - P.1364

要旨:乳糜腹水は,最近の外科的手術の高度化,担癌患者の長期生存によりその頻度は増加している.乳糜腹水は,低栄養状態や免疫能低下状態を惹起する可能性がある.その原因には様々なものがあり,有腹水患者をみたら,まず腹水穿刺を行い,乳糜腹水を診断し,その原因を調べ,早期に適切な対処を行うことが肝要である.

〔術後合併症としての乳糜胸水・腹水―対応に困ったこの症例〕

頸部外科手術後の乳糜瘻

著者: 原口正史 ,   前田茂人 ,   藤岡ひかる

ページ範囲:P.1366 - P.1370

要旨:乳糜瘻は甲状腺などの頸部手術後に認められる比較的稀な合併症であり,頸部の胸管本幹あるいは静脈角近傍のリンパ叢損傷による乳糜漏出により発症する.治療法として,まずは食事療法による保存的治療が試みられるが,改善率は20~50%程度とされ,症例によっては治療に難渋することがある.

 本稿では,副甲状腺摘出術後に乳糜瘻を発症し保存的に治癒可能であった症例と,乳糜瘻が非常に稀とされる乳癌術後に発症し,再手術によって治癒した症例を参考にして,対策や治療方法について述べる.

胸部外科系術後の乳糜胸水―肺リンパ脈管筋腫症(LAM)患者に合併した術後乳糜胸水

著者: 二萬英斗 ,   大藤剛宏 ,   杉本誠一郎 ,   宗淳一 ,   山根正修 ,   豊岡伸一 ,   三好新一郎

ページ範囲:P.1372 - P.1375

要旨:胸部外科系術後の乳糜胸水は,術中操作による胸管損傷に伴い発症する合併症である.胸腔ドレナージ,絶食・TPN管理(長鎖脂肪酸の制限・中鎖脂肪酸の投与),胸膜癒着術,胸管結紮術などがその治療法としてよく知られている.しかし,これらの治療法に反応せず,対応に難渋する乳糜胸水症例にも時に遭遇する.特に肺リンパ脈管筋腫症(LAM)を伴った患者に対する手術の際には注意を要する.本稿では,胸部外科術後の乳糜胸水に対する治療を中心に概説するとともに,LAM患者に対する両側生体肺移植術後の難治性乳糜胸腹水にシロリムス(ラパマイシン)の投与が有効であった症例を加え,報告する.

肝胆膵外科手術後の乳糜腹水―生体肝移植術後に発症した乳糜腹水の1例

著者: 萱島寛人 ,   伊地知秀樹 ,   原田昇 ,   二宮瑞樹 ,   池上徹 ,   内山秀昭 ,   吉住朋晴 ,   副島雄二 ,   武冨紹信 ,   調憲 ,   前原喜彦

ページ範囲:P.1376 - P.1379

要旨:わが国は有数の生体肝移植先進国となり,その成績も良好である.しかし,術後合併症は避けがたく,適切な術後管理が必須となる.乳糜腹水は生体肝移植術後には稀な合併症であるが,当科でも1例経験したので報告する.症例は40歳の女性,原発性胆汁性肝硬変に対して生体肝移植術を施行した.術後より多量の腹水を認めたが,術後21日目より乳糜腹水を発症した.低脂肪食への変更,完全静脈栄養への変更でも改善を認めず,完全静脈栄養およびソマトスタチンアナログの併用にて速やかに乳糜腹水の消退を認め,術後166日目に軽快退院となった.生体肝移植術後の乳糜腹水に対して,完全静脈栄養およびソマトスタチンアナログの併用は非常に効果的であった.

大腸癌切除術後の乳糜腹水

著者: 舟田知也 ,   山本聖一郎 ,   森谷宜皓 ,   荒牧修 ,   渡邊慶史 ,   高山忠利

ページ範囲:P.1380 - P.1383

要旨:〔目的〕大腸癌術後乳糜腹水について,自験例をもとにその経過と治療について検討した.〔対象〕筆者が在籍した2施設での大腸癌術後乳糜腹水合併症例のうち,治療に難渋した2症例を中心に検討した.〔結果と考察〕大腸癌術後乳糜腹水の合併は比較的稀であるが,術後縫合不全やドレナージチューブの逆行性感染を併発すると治療に難渋する.術後縫合不全の兆候がない場合は,早期にドレナージチューブを抜去し,禁食,または脂肪制限食で管理することで軽快するものと思われる.

腹部大動脈リンパ節郭清術後の乳糜腹水

著者: 木下宏実 ,   竹内悟

ページ範囲:P.1384 - P.1388

要旨:子宮頸癌,子宮体癌,卵巣癌など婦人科悪性腫瘍における傍大動脈リンパ節(腹部大動脈周囲リンパ節)転移について多くの検討がなされ,進行期などリスク因子のある症例では,傍大動脈リンパ節郭清が行われる頻度が増加している.手術症例の増加に伴い,術後合併症の一つである乳糜腹水の報告が増加している.郭清の範囲とリンパ管の解剖学的流れを考慮すると,乳糜槽や胸管の直接損傷ではなく,腸や腰リンパ本管からの逆流漏出ではないかと考えられている.今回われわれは,子宮頸癌症例で傍大動脈リンパ節郭清でもかなり下部領域のみ(b2群)の郭清術後であったにもかかわらず,典型的ではないが乳糜腹水をきたし,保存的治療すなわち絶食,中心静脈栄養管理,ソマトスタチンによる薬物療法に抵抗性で,外科的再結紮術を行い軽快した症例を経験したので報告する.

腎摘出術後の乳糜腹水

著者: 逢坂公人 ,   岩崎晧

ページ範囲:P.1390 - P.1393

要旨:腎摘出術後の乳糜腹水の病態について,自験例をもとに文献的考察を加えて報告した.乳糜腹水は長期化することで低栄養や免疫力低下にもつながりうることから,迅速に解決するためには外科的治療も視野に入れた適切な管理が要求されることを強調した.

〔乳糜胸水・腹水の治療方針〕

基本的な治療方針

著者: 久保木知 ,   清水宏明 ,   高屋敷吏 ,   木村文夫 ,   吉留博之 ,   大塚将之 ,   加藤厚 ,   古川勝規 ,   吉富秀幸 ,   竹内男 ,   須田浩介 ,   高野重紹 ,   宮崎勝

ページ範囲:P.1394 - P.1399

要旨:術後乳糜胸水・腹水は術中リンパ管損傷に伴う比較的稀な合併症だが,その遷延は重篤な病態を引き起こすため早期の適切な治療が必要となる.乳糜胸水・腹水に対する治療の第一選択は,適切なドレナージおよび食事療法,薬物療法などの保存的治療である.最近は,完全静脈栄養の進歩に伴い,絶食+TPN管理に加えてソマトスタチンアナログ製剤の投与が有用とされる.しかし,保存的治療が無効な場合は外科的治療も考慮される.リンパ管損傷部位が明らかな場合は同部位の結紮術が有効だが,損傷部位が不明瞭な場合は腹腔-静脈シャントやフィブリン糊散布なども施行される.本稿では,エビデンスに基づいた術後乳糜胸水・腹水の基本的治療方針を述べ,当科における術後乳糜腹水発生症例を検討する.

術後乳糜胸水の治療方針

著者: 上吉原光宏 ,   永島宗晃 ,   井貝仁 ,   滝瀬淳 ,   堀江健夫 ,   遠藤克明 ,   川田忠嘉 ,   鈴木邦明 ,   橋爪裕 ,   伊藤潤 ,   永島潤 ,   伊藤秀明 ,   坂元一葉

ページ範囲:P.1400 - P.1406

要旨:術後乳糜胸に対する治療法についてまとめた.基本的にはドレナージ,絶食,低脂肪食,中心静脈栄養,胸膜癒着術などであるが,1日排液量500~1,000ml以上が持続する場合や食道癌手術後に対しては胸管本幹損傷の可能性が高く,早期外科治療を考慮すべきである.低侵襲である胸腔鏡下手術を早期に行い,乳糜胸長期化による全身状態低下をきたす前に治療することが望ましい.近年報告されているオクトレオチドは効果が期待できる治療であり,今後症例の蓄積が待たれる.

術後の乳糜腹水の治療方針

著者: 黒岩実

ページ範囲:P.1408 - P.1413

要旨:術後乳糜腹水は比較的稀ではあるが,しばしば難治性で,蛋白・リンパ球などの喪失に伴う栄養・免疫面での問題を生じうる合併症である.

 通常,保存的治療が奏効し,症例の約2/3以上で治癒が見込まれる.すなわち,脂肪制限食や絶食+経静脈栄養あるいはソマトスタチンアナログ製剤投与にて満足すべき結果が得られる.一方,治療抵抗例では外科的治療が必要となる.しかし,術中の部位同定はしばしば困難なため,術前のリンパ管シンチや造影のみならず,術中に直視下の漏出部同定を可能とする術前処置(ミルクや脂溶性色素投与)や術中色素投与を併用すべきである.最終手段としての腹腔-静脈シャントは,その適応に慎重であらねばならない.

 乳糜腹水リスクの高い手術では,その予防に留意すべきで,正確な解剖学的知識と確実な手術操作が要求される.

読めばわかるさ…減量外科 難敵「肥満関連疾患」に外科医が挑む方法・4

腹腔鏡下胃バイパス術①

著者: 笠間和典

ページ範囲:P.1415 - P.1420

 元気ですか~っ! 元気があれば,腹腔鏡下胃バイパス術もできる!

 ということで,今回から術式と手技について詳細します.担当は久しぶりに笠間が務めさせていただきます.

臨床外科交見室

病院の舞台裏

著者: 出口浩之

ページ範囲:P.1421 - P.1421

 当院には入院検討会なる組織があり,毎週1回の会議が行われている.私もそのメンバーの一人である.会議の目的は,他院や開業医から回復期や療養病棟への入院依頼や紹介のあった患者を入院させるか否かを決めることである.したがって,院内では重要な会議に位置する.

 介護保険制度の導入を機に地域医療連携室や相談室という名の部署が全国の病院に誕生してかれこれ10年になる.ソーシャルワーカーの方々が紹介のあった患者を訪ね,寝たきり度,認知症の有無と程度,栄養摂取は経口か,あるいはPEGやIVHか,酸素吸入の有無や気管切開をしているか否か,褥創や感染症や合併症の有無とその治療状況などから始まって,家族との面談結果,すなわち家族構成,独立した生計か否かを含めた経済状況,支払負担可能金額の目安,療養・治療に対する期待度,終末期の延命治療をどこまで希望するか,などの情報を会議に上げてくる.

病院めぐり

鳥取生協病院外科

著者: 竹内勤

ページ範囲:P.1422 - P.1422

 当院は鳥取市の中心市街地の真ん中にあり,この地に住まう人々の安心・安全の砦として市民から大きな期待を受け,平成20年に10階建ての免震構造で新築オープンしました.鳥取県は最も人口が少ない県です.しかし,日本海に面しており,西部では大山,東部では日本一の鳥取砂丘と自然に恵まれた県でもあります.県の2次医療圏は東・中・西の3つに分かれており,県庁所在地である鳥取市は東部医療圏の中心ですが,近年の医療崩壊で隣の兵庫県北部をも一部カバーしています.

 当院の設立は昭和26年で,当時,普段着のままでも診てもらえる病院が欲しいと言う願いから市民有志が医療生活協同組合を作って診療所を建てたのが始まりです.したがって,当院は元々は患者組合員が主役です.医療は,出資し,利用し,運営する生協組合員と医療の専門家である職員が協同して取り組むことを当たり前の理念として育み,また,医療にいかなる差別も認めないことをモットーに差額ベッド料の徴収を行わずに運営してきました.当院は設立9か月目に鳥取大火に遭遇して全焼しましたが,それに屈することなく再建されて今日に至っています.現在,総病床数は260床(一般急性期150床,回復期リハビリ病棟44床,障害者病棟50床,緩和ケア病棟16床)で,臨床6科で運営しています.医師26名,看護部236名の陣容です.

日野病院組合日野病院外科

著者: 大谷眞二

ページ範囲:P.1423 - P.1423

 鳥取県西部の中山間地に位置する日野町は人口4千人の小さな自治体ですが,中心部はかつて出雲街道の宿場町として栄え,今もその面影が所々で感じられます.自然環境にも恵まれ,町を流れる一級河川の日野川は知る人ぞ知る清流であり,夏はアユ釣りの名所として,また冬は県鳥でもあるオシドリの飛来地として住民や観光客の心を和ませています.

 当院はその日野川沿いに立地する自治体病院で,1996年に厚生連の経営から日野町,江府町,溝口町(現在の伯耆町)による一部事業組合立の病院として生まれ変わりました.2000年10月の鳥取県西部地震(震度6強)によって建物の大半が倒壊したものの,幸いに新病院への移転の直前であったため,同年11月には現在地での診療を開始し今日に至っています.

私の工夫―手術・処置・手順

生理的展開を意識したULTRAPRO Hernia System(UHS)のアンダーレイパッチ挿入法(リバース・ロール法)の工夫

著者: 朝蔭直樹 ,   松村知憲 ,   岡田慶吾 ,   中村直和 ,   苅込和裕 ,   十束英志 ,   諏訪達志

ページ範囲:P.1424 - P.1425

【はじめに】

 鼠径ヘルニア修復術においてはLichtenstein法などオンレイパッチのみの修復でも十分に有効であることは証明されているが1),われわれは腹膜前腔にパッチを展開する修復法がより論理的であると考え,腹腔鏡下におけるtotally extraperitoneal preperitoneal repair(TEP)はもちろんのこと,前方アプローチ法でもProlene Hernia System(PHS)やULTRAPRO Hernia System(UHS:ともにジョンソン・エンド・ジョンソン社)を好んで使用している.

 2009年から使用しているUHSはプロリンとモノクリルを編み込んだ半吸収性のlarge pore構造であり,アンダーレイパッチがモノクリルフィルムで補強され形状が保たれる構造となっている.われわれはこのUHSの機能を活かし,腹膜前腔への生理的展開を意識したアンダーレイパッチの挿入法を工夫しているので紹介する.

臨床研究

乳房温存療法における遊離脂肪移植による整容性の向上

著者: 福原稔之 ,   小西豊

ページ範囲:P.1426 - P.1433

要旨:乳房温存療法は乳癌手術の過半数を占める術式となったが,整容性が不十分な症例も存在する.われわれは,乳房部分切除術によって生じた欠損部に,腋窩部から採取した皮下脂肪を移植することにより整容性を向上させている.2007年3月から2008年6月までに,57例に乳房部分切除と同時に遊離脂肪移植による再建を行った.整容性の評価では,excellent 63%,good 30%,fair 7%であった.2例(3.5%)に移植した遊離脂肪組織の感染を生じた.術後数か月経過後の,移植された脂肪の病理組織学的所見において,有核脂肪細胞と毛細血管が認められた.遊離脂肪移植は,乳房部分切除後の整容性を向上させる術式として有用であると考えられる.

臨床報告

脾動脈瘤の3例

著者: 猪狩公宏 ,   藍原有弘 ,   落合高徳 ,   熊谷洋一 ,   飯田道夫 ,   山崎繁

ページ範囲:P.1435 - P.1438

要旨:脾動脈瘤は,画像診断技術の向上に伴い発見される機会が多くなった.一方で,臨床症状は乏しく,破裂によるショック状態で発見される例も多い.今回われわれは,脾動脈瘤の3例を経験した.症例1は70歳,女性.無症候性の脾門部の多発脾動脈瘤に対し脾臓摘出術を施行した.症例2は40歳,女性.背部痛より脾動脈瘤が発見され,脾臓摘出術を施行した.症例3は77歳,男性.繰り返す消化管出血を主訴に,脾動脈根部近くに60mm大の脾動脈瘤を認め,脾動脈瘤および残胃,膵体尾部,脾合併切除術を施行した.いずれも再発なく経過しており,脾動脈瘤の治療に際しては近年,interventional radiologyの発達はあるものの,合併症も決して低率ではないことより,手術も含めて治療法を選択すべきと考える.

18歳女性の乳腺に発生した巨大線維腺腫の1例

著者: 丸野要 ,   江口正信

ページ範囲:P.1439 - P.1444

要旨:症例は18歳の女性,1年前に右乳房の拇指頭大の腫瘤に気付いた.1年間で巨大な腫瘤となり,2008年5月,当科外来を受診した.右乳房全体の大きさが26×21cm,周囲長52cmに及ぶ巨大化を認めた.針生検では線維性間質を主体とする所見を呈し,一部に乳腺小葉構造を認め,線維腺腫(FA)を疑った.6月に全身麻酔下,右乳房腫瘤摘出術を施行した.摘出標本の肉眼所見では26×24×21.5cm,2,230gの分葉状で灰白色の軟らかい充実性腫瘤であり,病理組織学的所見では乳管と間質細胞の増生を認め,いわゆる若年性FAと診断した.本症例は20歳以下のFA症例において,本邦報告例中最大の大きさおよび重量を呈する症例と考えられた.

同時性食道胃早期重複癌に対しminimally invasive surgeryを行った1例

著者: 松谷毅 ,   内田英二 ,   丸山弘 ,   松下晃 ,   松田明久 ,   笹島耕二

ページ範囲:P.1445 - P.1450

要旨:患者は59歳,女性.主訴なし.上部消化管内視鏡検査で,食道多発表在癌と早期胃癌と診断した.CT検査では,リンパ節や遠隔臓器転移はなかった.胃前庭部の早期胃癌に対して内視鏡的粘膜下層剝離術(ESD)を施行した.病理組織検査では,高分化腺癌,M,切離断端陰性であった.PPI投与後,ESD後の胃粘膜欠損は軽度となり,腹臥位胸腔鏡下食道切除,腹腔鏡下胃管作成術を施行した.病理組織検査では,多発する異型上皮と表在癌(T1aN0M0)であった.術後合併症なく軽快,退院した.今回われわれは,同時性食道胃早期重複癌に対しminimally invasive surgeryの症例を経験したので報告する.

癌性心膜液貯留に対しシスプラチンの心膜腔投与が著効した再発乳癌の3例

著者: 藤智和 ,   大谷彰一郎 ,   伊藤充矢 ,   檜垣健二

ページ範囲:P.1451 - P.1455

要旨:再発乳癌の経過中に生じた癌性心膜液貯留に対し,シスプラチン(CDDP)の心膜腔投与を行い良好にコントロールし得た3症例を経験した.症例は42歳,58歳,59歳の再発乳癌患者で,外来通院中に心不全症状を認め心膜液貯留を指摘された.癌性心膜液貯留による心タンポナーデの診断で,全例エコーガイド下に心膜腔ドレナージを施行したところ,症状は速やかに改善した.再貯留防止目的にCDDPの心膜腔投与を行い,その後の経過において全例で心膜液の再貯留を認めなかった.3例とも他病巣への転移により心膜腔投与後4~18か月目に死亡した.乳癌の癌性心膜液再貯留予防に対して,CDDP心膜腔投与が安全かつ有効である可能性が示唆された.

腹腔鏡下手術を施行した子宮内外同時妊娠の1例

著者: 塚本信和 ,   中川国利 ,   深町伸 ,   谷川原真吾

ページ範囲:P.1457 - P.1460

要旨:患者は38歳の女性.2009年6月を最終月経として自然妊娠が成立し,最終月経から7週目に下腹部痛を主訴として当院産婦人科に入院した.血圧低下をきたし,腹部CT検査で腹腔内に液体貯留を認めたため,急性腹症として外科に紹介された.腹腔鏡下に観察すると,右卵管膨大部破裂および腹腔内に大量の血液を認めた.子宮内外同時妊娠と診断し,妊娠破裂した右卵管膨大部を切除した.術後経過は良好で,術後8か月現在,妊娠経過を観察中である.子宮内外同時妊娠は自然排卵周期では非常に稀な疾患であり,術前診断は困難とされている.腹腔鏡下手術は確定診断から治療までを一貫して施行でき,大変有用な手術方法である.

ヘルニア囊内に膀胱破裂をきたした腹壁瘢痕ヘルニアの1例

著者: 濵田貴幸 ,   菅原由至 ,   武藤毅 ,   沖田光昭 ,   向井憲重

ページ範囲:P.1461 - P.1463

要旨:症例は74歳,女性.腹壁瘢痕ヘルニア部の鶏卵大の膨隆と圧痛,発赤にて当科を受診した.発熱,腹部膨満なく,圧痛は膨隆部に限局していた.血液生化学検査で軽度の炎症所見と低栄養を,腹部CTにて下腹部皮下から膀胱前面に位置する腹壁瘢痕ヘルニア囊内にガスを含む液体貯留を認めた.腹壁瘢痕ヘルニア囊内への限局性膿瘍形成の術前診断にて緊急手術を施行した.ヘルニア囊内への膀胱破裂を認め,破裂部を利用して膀胱瘻を造設した.膀胱過膨張と繰り返すヘルニア囊内への膀胱脱出による慢性的な血流障害,組織変性が破裂発症に関与したと推察する.

書評

篠原 尚,水野惠文,牧野尚彦(著)「イラストレイテッド外科手術(第3版)膜の解剖からみた術式のポイント」

著者: 北川雄光

ページ範囲:P.1371 - P.1371

 私が,この『イラストレイテッド外科手術 第3版』を手にしたのは,著者である篠原 尚先生が,私が執刀する胸腔鏡下食道癌根治術を見学に来てくださったちょうど一週間後の日本外科学会総会(第110回;2010年4月)の会期中であった.第3版で新たに加えられた食道癌根治術を読み進めていくうちに私は顔面蒼白となった.これほどまでに外科解剖を理解し,手術手技の細部に至るまで習熟している著者に対して,何という「釈迦に説法」のごときことをしてしまったことか.専門家ぶって蘊蓄を傾ける私に,優しい笑顔で「勉強になりました」とおっしゃった先生のお人柄が胸にしみた.

 さて,食道癌根治術を安全かつ確実に行うためには,大血管や気道系,神経系が複雑に交錯する縦隔解剖の理解が必須である.時として術野では見えない部分の解剖を頭の中に描きながら手術を進めなければならない.直接臓器を触知できない胸腔鏡下手術や,切除可能性が危ぶまれる化学放射線療法後のサルベージ手術の場合などは局所解剖の理解不足が重篤な臓器損傷に直結する.立体的な解剖をどう理解させるかは,食道癌根治術経験の少ない若手を指導する際には最も難しいところである.本書では,正常解剖を適切な角度から巧みに紹介した上で,必要な牽引,術野展開を加えた際の位置関係の変化を順次提示している.この手法が複雑な解剖を極めてわかりやすくしている大きな要因である.また,いつもながら最小限の描線で立体感,臨場感のあるイラストに仕上げる技術はまさに圧巻である.写実的なデッサンではなく明瞭なしかも一定のルールに基づいた線や点,色調の濃淡で立体解剖を巧みに描出する技術は驚愕に値する.

堀尾重治(著)「骨・関節X線写真の撮りかたと見かた(第8版)」

著者: 北山彰

ページ範囲:P.1434 - P.1434

 『骨・関節X線写真の撮りかたと見かた』の第8版が発刊された.本書で自らが学び,かつ大学教育で使用させていただいている読者の一人として,本書の感想を述べてみたい.

 画像診断では,一枚の画像からそこに隠された多くの情報を読み取ることが必要である.そのためには三次元の正確な正常解剖はもとより,そこに生じる疾患の形態学的特徴を熟知する必要がある.本書は画像検査法の技術的理論に基づいて,画像を読影するための基本的な人体解剖と,そこに発生する疾患の病理病態をわかりやすく教えてくれる.

奥坂拓志,羽鳥 隆(編)「膵癌診療ポケットガイド」

著者: 元雄良治

ページ範囲:P.1464 - P.1464

 研修医が希望する本は,ポケットに入るサイズで,読みやすい,という条件がある.本書はまさにそれを満たしており,本書の読者対象である研修医や膵癌診療に携わっている若手医師には心強い味方である.特に豊富な図や写真は,要点が一目瞭然で理解でき,長い文章よりも効果的である.例えば,103~108ページの膵癌進展度評価では,「上腸間膜静脈浸潤を伴う膵頭部癌」と「上腸間膜静脈浸潤を伴わない膵頭部癌」のCT画像を横断像と3D像で比較しながら示している.ほかにも,ある所見を伴う例と伴わない例を図示しているので,日頃症例検討会で先輩医師が議論の対象にしている重要所見について,典型的画像を自己学習できる.内視鏡診断のポイントでは,鮮明な写真で内視鏡機器や内視鏡像が呈示されており,非常にインパクトがある.

 治療では切除可能例と切除不能例に分け,特に化学療法に関しては,各レジメンの図示,禁忌や休薬・再開の方法・副作用対策(192~194ページには患者説明用の記載あり)についての具体的な記述が大変参考になる.またフルオロウラシルやS-1とほかの薬剤の併用療法の中でオキサリプラチンを取り上げ,現時点ではまだ保険適用未承認ではあるが,最新情報を知ることができ,著者同様に読者も臨床試験の結果に注目したくなる内容である.治療効果の判定には2009年に改訂されたRECISTガイドラインver. 1.1の要点が表3-17として掲載されている.

昨日の患者

最期のパフォーマンス

著者: 中川国利

ページ範囲:P.1375 - P.1375

 テレビドラマや映画での最期は劇的で,感動的に終わることが多い.一方,病院で繰り広げられる普遍的な最期は血圧が低下し,呼吸が浅く緩やかになる.そして蝋燭が消えるがごとく無呼吸となり,脈が触れなくなる患者さんが多い.しかし,稀には劇的な死を迎える患者さんも存在する.

 Tさんは大腸癌で手術を受けた.進行期の癌ではあったが,90歳代と高齢なため癌化学療法は行わなかった.術後経過は良好であったが,手術の2年後に食欲不振で来院した.CT検査を行うと,腹水と多発性のリンパ節転移を認めた.そこで入院していただき,補液と利尿剤を投与した.

勤務医コラム・17

授業というより講談

著者: 中島公洋

ページ範囲:P.1399 - P.1399

 看護学校の講師を引き受けた.大先輩から,「中島くん,アンタもいい年だから,自分のことばかりじゃなくてこういう仕事もやってみなさい」とのお言葉を頂戴し,「ハハ~ッ」とお引き受けしたのだ.

 始めてみると知らないことばかりで,自分で自分にあきれる.ほんの何年か前までmajorな手術をたくさんやって何でもわかっているつもりになっていたのに,いざ生徒の前に立つと,何にもわかっていないと知った.「なぜ赤血球には核がないの?」「血液の付着したガーゼは何廃棄物?」「DNAとRNAの違いは?」……生徒に尋ねられてウッと言葉につまる.いつもお茶を濁してばかりで我ながら情けない.今日も,感染予防と隔離の話から,昔の癩病の話へと飛び火し,ついには松本清張の「砂の器」や,関ヶ原前夜における大谷吉継・石田三成の友情について,延々と熱く語ってしまった.勉強の話のときは机に突っ伏して眠っている生徒が,私の話があらぬ方向へ熱を帯びてきた途端に,ムクッと起き上がって聴いている.いかん,授業というより講談になっている…….こんなことでは試験も脱線しそうで恐い.「先生,へんな問題出したら大ブーイングやからね」と生徒に念押しされ「ハイ」と答える私.どっちが先生なのか?

ひとやすみ・64

越中富山の薬屋さん

著者: 中川国利

ページ範囲:P.1433 - P.1433

 私が子供の頃は現代と比べると医療機関や薬局が極端に少なく,病気に罹患しても自宅で療養するのが常であった.特に私が育った東北の片田舎では薬屋さんが置いていった薬を利用したものである.薬箱には整腸剤や下剤,傷薬などが常備薬として収納され,母親の見立てで薬を服用した.

 薬屋さんは年に2回ほど大きな風呂敷包みを背負って村中を巡回した.薬屋さんが村にくると,子供らも後ろを付いて回った.「越中富山の薬屋さん,鼻くそ丸めて萬金丹,それを飲むのがアンポンタン」と冷やかしながらも,薬屋さんの来訪を心待ちにしていた.背負った大きな柳行李のなかから薬を取り出し,使った薬を補充し,期限切れの薬を交換した.そして使用した薬の代金を徴収したあと,子供たちが待ち焦がれるお土産を行李から取り出した.薬の広告が印刷された紙風船で,当時としては貴重な子供の遊び道具であった.

1200字通信・18

誤字・脱字

著者: 板野聡

ページ範囲:P.1456 - P.1456

 最近の文章は,よほどの私的な書簡でない限りワープロを使って書いていますが,仮名から変換する際に思わぬ漢字が出てきて,「なるほど,確かに同じ読み方ではある」などと疲れた頭を休めることにもなっています.聞くところによると,こうした誤変換を競う企画もあるそうで,その意外性が楽しみという方々もおられるようです.

 ところで,私が大学を卒業して以来,ずっとご指導をいただいている先生がおられます.私の父親ほどのお歳なのですが,論文や出版した本の誤字や脱字に関してのチェックが厳しく,いつぞやは私がお送りした論文の別刷に,赤ペンでチェックが入って返送されてきたということもありました.ただ,ご自分が書かれたものについても厳しく,送っていただいた別刷や本に誤字や脱字がないかをチェックしておかないと(ということは,図や表なども含めて隅から隅まで読んでおかないと),つぎにお会いした時にこちらが気付いていない場合などは,「読んでくれないのなら,もう送らんぞ」とお目玉を頂戴することになっています.

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あとがき

著者: 島津元秀

ページ範囲:P.1472 - P.1472

 このあとがきを書いているころ,昨年改正された「臓器の移植に関する法律」(改正臓器移植法)が7月17日に施行されることになった.この法律が適用される限りにおいて,「脳死は人の死」と定義され,本人の意思が確認できなくとも遺族の承諾があれば脳死体からの臓器提供が可能となった.したがって,法律上は本人の意思が確認できない小児からの臓器提供もできるようになったわけだが,その実現のためにクリアしなければならない課題は多い.小児の脳死判定にはより慎重な手順が求められているが,その診断には高度の専門的知識が必要である.また,児童虐待の判定についても院内のシステム作りが必須である.これらの条件を満たす施設はかなり限定されることが予想されるわけで,改正臓器移植法が絵にかいた餅にならないかと危惧する.もちろん,この法律には慎重な運用と客観的な検証が必要であり,さもないと移植医療が社会の信頼を得ることはできないことは言うまでもない.

 翻って考えると,わが国で脳死移植がなぜ普及しないかという議論は古くからなされ,法律の不備,宗教上の問題,国民性,心臓移植の反省,メディアのネガティブキャンペーンなど,多くの原因が指摘されてきた.その中で,ドナーとその遺族の立場については十分な社会的評価が行われているのか,いささか疑問がある.究極のボランティアであるドナーと,様々な葛藤の中でドナーの遺族となることを選択した方々に対して,レシピエントからだけでなく,広く社会的な感謝と賛辞が送られてもいいのではないかと思う.ドナーとその遺族に対する尊敬の念が個人情報保護に抵触しない範囲でもっと表明されてもよいのではないか.遺族はドナーを誇りに思い,臓器提供に同意したことに誇りを持てるような社会であってほしい.医療は医師と患者の信頼関係で成り立っており,相互に尊敬,尊重することでより良い医療が展開できる.医療過誤,医療訴訟,モンスターペイシェントなど,医療に関わる楽しくない話題が連日報道されている今日この頃,移植医療の新しい展開はわが国の医療全体の未来を占う一つの試金石になるであろう.

基本情報

臨床外科

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN 1882-1278

印刷版ISSN 0386-9857

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