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文献詳細

雑誌文献

臨床外科65巻10号

2010年10月発行

文献概要

臨床報告

腹腔鏡下手術を施行した子宮内外同時妊娠の1例

著者: 塚本信和1 中川国利1 深町伸1 谷川原真吾2

所属機関: 1仙台赤十字病院外科 2仙台赤十字病院産婦人科

ページ範囲:P.1457 - P.1460

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要旨:患者は38歳の女性.2009年6月を最終月経として自然妊娠が成立し,最終月経から7週目に下腹部痛を主訴として当院産婦人科に入院した.血圧低下をきたし,腹部CT検査で腹腔内に液体貯留を認めたため,急性腹症として外科に紹介された.腹腔鏡下に観察すると,右卵管膨大部破裂および腹腔内に大量の血液を認めた.子宮内外同時妊娠と診断し,妊娠破裂した右卵管膨大部を切除した.術後経過は良好で,術後8か月現在,妊娠経過を観察中である.子宮内外同時妊娠は自然排卵周期では非常に稀な疾患であり,術前診断は困難とされている.腹腔鏡下手術は確定診断から治療までを一貫して施行でき,大変有用な手術方法である.

参考文献

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掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1278

印刷版ISSN:0386-9857

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