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書評
奥坂拓志,羽鳥 隆(編)「膵癌診療ポケットガイド」
著者: 大松重宏1
所属機関: 1城西国際大
ページ範囲:P.1605 - P.1605
文献購入ページに移動 私はがん専門病院に相談職として勤務していたが,日々の業務の中で,膵臓癌の患者さんやその家族から鬱積した思いをうかがうことは少なくなかった.その多くは怒りであり,私自身に対して向けられたものではなく,「膵癌はなかなか早期に発見できないとは理解できたが,あんなに調子が悪いと訴えていたのに」(診断の困難性),「膵癌=難治性であるという以外に情報が少な過ぎる.ほかの癌はいっぱいあるのに」(情報の欠如),「治療の難しい局面で生活のこと(お金,仕事,家族)もたくさん決めていかなければならない」(心理社会的課題)という膵癌患者さんの置かれている状況が根底にあってのことと思われる.
本書は,そのような膵癌患者さんや家族をサポートするための大きな指針となるであろう.研修医およびこれから膵癌を専門としようとする若手医師向けに書かれたものだが,医師にとってはもちろんのこと,癌を専門とする看護師,薬剤師,また膵癌の患者さんやご家族の相談にのる立場の者にとっても非常に役に立つ.それは単なるテキストではなく具体的な記述が多数盛り込まれ,最新のトピックスを取り上げるなど,膵癌治療を正しく理解するためにさまざまな工夫がなされているからである.例えば腫瘍マーカーの特徴や術前のICのポイント,化学療法に伴う副作用とその対策などは,大変わかりやすく解説されている.
本書は,そのような膵癌患者さんや家族をサポートするための大きな指針となるであろう.研修医およびこれから膵癌を専門としようとする若手医師向けに書かれたものだが,医師にとってはもちろんのこと,癌を専門とする看護師,薬剤師,また膵癌の患者さんやご家族の相談にのる立場の者にとっても非常に役に立つ.それは単なるテキストではなく具体的な記述が多数盛り込まれ,最新のトピックスを取り上げるなど,膵癌治療を正しく理解するためにさまざまな工夫がなされているからである.例えば腫瘍マーカーの特徴や術前のICのポイント,化学療法に伴う副作用とその対策などは,大変わかりやすく解説されている.
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