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文献詳細

雑誌文献

臨床外科65巻13号

2010年12月発行

文献概要

臨床報告

イレウス管が誘因となった順行性腸重積症の1例

著者: 三口真司1 小橋俊彦1 眞次康弘1 中原英樹1 漆原貴1 板本敏行1

所属機関: 1県立広島病院一般外科

ページ範囲:P.1711 - P.1714

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要旨:症例は86歳,男性.20年前に胃潰瘍にて胃切除術を施行していた.下腹部痛と嘔吐を主訴にイレウスの診断で入院となり保存的治療を開始した.第7病日にイレウス管を約30cm自己抜去したため元の位置まで再挿入した.第8病日に腹痛の再燃,イレウス管から血性の排液を認め,CTで小腸重積症と診断し緊急手術を施行した.Treitz靱帯より約50cmの上部空腸が20cmほど肛門側に重積していたため,重積腸管を切除した.イレウス管の再挿入による刺激のため腸管蠕動が亢進し,口側腸管輪状筋の痙性収縮が弛緩した肛門側腸管に嵌入して重積が生じたと推測した.イレウス管自己抜去時の再挿入は,腸重積をきたす危険性があることを念頭に置くべきである.

参考文献

1)Brayton D, Norris WJ:Intussusception in adults. Am J Surg 88:32-43, 1954
2)竹本研史,横尾直樹,和形隆志,他:イレウス管留置中2ヶ所に生じた成人腸重積症の1例.日臨外会誌 69:2282-2286,2008
3)山本澄治,花岡俊仁,多田明博,他:胃全摘術後のイレウス管留置に起因した腸重積の1例.日臨外会誌 68:2512-2516,2007
4)遠藤俊吾,中田一也,石川信也,他:イレウス管が誘因となったと考えられる成人型小腸腸重積症の1例.日臨外会誌 51:133-138,1990
5)McGoon DC:Intussusception:a hazard of intestinal intubation. Surgery 40:515-519, 1956
6)Fraser I, Condon R, Schulte WJ, et al:Bowel motility after primary resection for colonic obstruction. Br J Surg 13:113-116, 1981
7)西川勝則,羽生信義,成瀬 勝,他:イレウス管が原因となった腸重積の1例.日臨外会誌 56:2633-2636,1995

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1278

印刷版ISSN:0386-9857

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