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文献詳細

雑誌文献

臨床外科65巻2号

2010年02月発行

文献概要

特集 外科医に必要なPET検査の知識―その有用性と問題点

炎症性腸疾患の発癌症例とPET検査

著者: 池内浩基12 内野基12 松岡宏樹12 坂東俊宏12 竹末芳生3 冨田尚裕1

所属機関: 1兵庫医科大学下部消化管外科 2兵庫医科大学炎症性腸疾患センター 3兵庫医科大学感染制御部

ページ範囲:P.258 - P.265

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要旨:潰瘍性大腸炎に合併するcolitic cancer症例の臨床的特徴として,診断時の炎症の程度をCRPで検討すると,CRPが陽性でステロイド治療を受けている症例はごくわずかである.活動期の症例に対してFDG-PET検査を行っても大腸全体に集積されてしまう.CRPが陰性の症例に対して,癌の壁深達度と集積の関係を検討すると,MP癌以上の症例では集積を認めた.このなかには術前診断がdysplasiaの症例も含まれており,FDG-PET検査で集積を認める症例では,病理診断がdysplasiaであっても進行癌の可能性が高く,手術を急ぐべきである.一方,クローン病の領域では,直腸肛門の活動性の病変部位に癌が合併することが多い.また,組織学的に集積率の悪い粘液癌が多いこともあり,サーベイランス目的のFDG-PET検査の有用性は指摘できないのが現状である.

参考文献

1)大腸癌研究会(編):大腸癌取扱い規約.第7版.金原出版,2006
2)Meisner RS, Spier BJ, Einarson S, et al:Pilot study using PET/CT as a novel, noninvasive assessment of disease activity in inflammatory bowel disease. Inflamm Bowel Dis 13:993-1000, 2007
3)Lemberg DA, Issenman RM, Cawdron R, et al:Positron emission tomography in the investigation of pediatric inflammatory bowel disease. Inflamm Bowel Dis 11:733-738, 2005
4)松本譽之,樋田信幸:潰瘍性大腸炎と大腸癌.日消誌 103:805-811,2006
5)味岡洋一:病理学的総論.渡邉聡明,味岡洋一,五十嵐正広,他(編);Colitic Cancer―診断と治療の現状.日本メディカルセンター,2006,pp21-36
6)Ikeuchi H, Nakano H, Uchino M, et al:Intestinal cancer in Crohn's disease. Hepatogastroenterology 55:2121-2124, 2008
7)西村恒彦,佐治英郎,飯田秀博:腫瘍臨床におけるFGDの役割:6.大腸癌.クリニカルPET.メジカルビュー社,2004,pp106-109

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1278

印刷版ISSN:0386-9857

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