臨床外科65巻2号

2010年02月発行

臨床報告

粘膜下腫瘍様形態を呈した直腸癌の1症例

著者： 木村洋平¹ 五井孝憲¹ 小練研司¹ 飯田敦¹ 片山寛次¹ 山口明夫¹

所属機関： ¹福井大学医学部第一外科

ページ範囲：P.309 - P.313

はじめに

　直腸癌における肉眼形態は，潰瘍限局型に代表されるように大腸の管腔内に発育するものがほとんどであり，粘膜下腫瘍様の形態を示すものはきわめて稀といわれている^1）．今回われわれは，粘膜下腫瘍様病変を呈した直腸癌症例を経験したので，若干の文献的考察を加えて報告する．

参考文献

1）下田忠和，関根茂樹，中西幸浩：大腸癌の診断と治療．日臨 61：123-134，2003

2）中野　浩，宮地育郎，北川康雄，他：特異な形態を示したS状結腸癌の1例．胃と腸 18：993-997，1983

3）宮崎慎吾，向田武夫，板坂勝良：特異な進展様式を示した直腸癌の1例．胃と腸 19：89-93，1984

4）尾関　豊，小山　登：多発性大腸ポリープに併存し粘膜下腫瘍様所見を呈した早期大腸癌の1例．Gastroenterol Endosc 34：2088-2093，1992

5）濱本博美，山本　博，木村弥都子，他：粘膜下腫瘍様の形態を示した大腸癌の2症例．Gastroenterol Endosc 39：1105-1112，1997

6）安永芳樹，前田和弘，岡田光男，他：粘膜下腫瘍様形態を示した大腸進行癌の1例．日本大腸肛門病会誌 52：36-42，1999

7）小西　滋，岸川博隆，川村弘之，他：粘膜下腫瘍様の形態を示した大腸癌の1例．日臨外会誌 61：3031-3036，2000

8）河野弘志，鶴田　修，唐原　健，他：粘膜下腫瘍様の形態を呈した大腸癌の臨床及び画像的特徴．胃と腸 38：1543-1550，2003

9）工藤由比，工藤進英，樫田博史，他：11ヵ月の経過で急激に大きさと形態の変化をきたした大腸癌の1例．胃と腸 38：1577-1582，2003

10）小田丈二，中村尚志，入口陽介，他：虫垂入口近傍に粘膜下腫瘍様の形態を示した大きさ18mmのⅠs＋Ⅱc型sm癌の1例．胃と腸 38：1567-1575，2003

11）平澤欣吾，粉川敦史，富田尚彦，他：粘膜下腫瘍様の形態を呈した大腸m癌の1例．Gastroenterol Endosc 47：2523-2529，2005

12）星野敏彦，遠藤正人，外浦　功，他：粘膜下腫瘍様の形態を示した大腸癌の1例．日消外会誌 38：1612-1617，2005

13）千島雷太，千葉俊美，久多良徳彦，他：粘膜下腫瘍様の形態を呈した大腸粘液癌の1例．Gastroenterol Endosc 48：37-42，2006

14）黒河　聖，今村哲理，安保智典，他：粘膜下腫瘍様の形態を呈した大腸癌の症例．早期大腸癌 11：355-360，2007

15）長谷川聡，諏訪宏和，簾田康一郎，他：粘膜下腫瘍様の発育形式を示した直腸癌の1例．横浜医学 58：147-151，2007

16）竹島信宏，平井康夫，滝澤　憲，他：リンパ節廓清をめぐって　原発性卵巣癌のリンパ節転移（組織型別の検討）．日婦腫瘍会誌 24：74-77，2006