icon fsr

文献詳細

雑誌文献

臨床外科65巻3号

2010年03月発行

臨床研究

開腹歴のない絞扼性イレウスの検討

著者: 北薗巌1 石部良平1 槐島健太郎1 三木徹生2

所属機関: 1川内市医師会立市民病院外科 2川内市医師会立市民病院放射線科

ページ範囲:P.417 - P.419

文献概要

要旨:今回,川内市医師会立市民病院(以下,当院)で経験した開腹歴のない絞扼性イレウスを対象として,その臨床的特徴を解析し,開腹歴のある絞扼性イレウスとの比較検討を行った.2005年1月から2009年4月までの4年4か月の間に,絞扼性イレウスの診断で当院に入院となった22例中,開腹歴のない症例(A群)は8例(36.3%)であった.その原因としては,大網組織からなる索状物形成が7例で,小腸型Chilaiditi症候群が1例であった.また,開腹歴のある群(B群:14例)との比較検討では,A群において絞扼された腸管の長さが有意に長かった(p=0.04).今回の検討で,A群における絞扼の原因として大網組織からなる索状物によるものが多く,B群と比べて絞扼腸管の長さが有意に長かったことから,開腹歴のない症例に関しては迅速な診断と早期の手術が要求されることが示唆された.

参考文献

1)沖永功太,安達実樹,坂川公一:イレウスが絞扼性かどうかの診断.臨外 55:179-183,2002
2)長尾二郎,炭山嘉伸:腸閉塞 手術のタイミングと手術術式 イレウスの原因と病態生理.外科 64:129-134,2002
3)斉藤人志,岸本圭永子,原田英也,他:絞扼性イレウス症例の臨床的検討.日腹救急会誌 18:525-531,1998
4)恩田昌彦,高崎秀明,古川清憲,他:イレウス全国集計21,899例の概要.日腹救急会誌 20:629-636,2000
5)遠藤 格,山岸 茂,菊池光伸,他:イレウスの診断;イレウスにおける身体所見と一般検査.消外 26:1067-1079,2003
6)Frager D:Intestinal obstruction role of CT. Gastroenterol Clin North Am 31:777-799, 2002
7)赤丸祐介,弓場健義,山崎芳郎,他:開腹歴のない小網索状物による絞扼性イレウスの1例.日臨外会誌 68:869-873,2007
8)松原 毅,田原英樹:腹腔鏡が有用であった開腹歴のない大網,横行結腸間膜によるイレウスの1例.日臨外会誌 69:1687-1890,2008
9)Chilaiditi D:Zur Frage der Hepatoptose unt Ptose im allgemeinen im Anschluss an drei Falle von temporarer, partieller Leberverlagerung. Fortschr Rontogenstr 16:173, 1910
10)稲垣貞彦,恵畑欣一:Chilaiditi's syndromeのX線学的研究.日医大誌 59:302-322,1992
11)福良清高,末長 博,萩原一行,他:イレウスを呈した小腸嵌入型Chilaiditi症候群の1手術例.日消外会誌 31:90-94,1998

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1278

印刷版ISSN:0386-9857

雑誌購入ページに移動
icon up

本サービスは医療関係者に向けた情報提供を目的としております。
一般の方に対する情報提供を目的としたものではない事をご了承ください。
また,本サービスのご利用にあたっては,利用規約およびプライバシーポリシーへの同意が必要です。

※本サービスを使わずにご契約中の電子商品をご利用したい場合はこちら