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文献詳細

雑誌文献

臨床外科65巻3号

2010年03月発行

文献概要

臨床報告

乳房神経鞘腫の1例

著者: 武田佳久1 稲本将1 安田誠一1 寺村康史1 山田英二2 赤松信1

所属機関: 1彦根市立病院外科 2彦根市立病院病理診断科

ページ範囲:P.433 - P.437

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要旨:患者は82歳,女性.左乳房腫瘤を近医で指摘されて来院した.左乳房に径5.0×3.0cm大の可動性がきわめて良好な腫瘤を認めた.触診上,線維腺腫などの良性腫瘍を疑った.針生検組織診では確定診断が得られず,年齢や腫瘤の大きさから乳癌も念頭に置いて腫瘤摘出術を施行した.摘出された腫瘍は5.0×3.0cmで,内腔は半透明な黄色の粘液様腫瘤であった.腫瘍のHE染色による組織診断では平滑筋腫や神経鞘腫などの間葉系腫瘍が疑われたが,確定診断には至らず,免疫組織診断を行った.S-100蛋白強陽性から神経鞘腫と診断された.乳房神経鞘腫は,文献検索した範囲内においてわが国では9例のみであり,稀な疾患と考えられた.

参考文献

1)川崎朋範,角田博子,秋山 太,他:乳房神経鞘腫の1例.乳癌の臨 21:60-65,2006
2)Hasebe T, Itabashi M, Hirota E:Pathology of benign breast disease. Pathology and Clinic 7:440-448, 1989
3)日本乳癌学会(編):臨床・病理 乳癌取扱い規約.第15版.金原出版,2004,p34,pp42-44
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5)Tohnosu N, Gunji H, Shimizu T, et al:A case of neurilemoma of the breast. Breast Cancer 9:257-259, 2002
6)田坂健彦,山崎 徹,佐藤 裕,他:乳房神経鞘腫(neurilemmoma)の1例.臨外 60:1607-1610,2005
7)Uchida N, Yokoo H, Kuwano H:Schwanoma of the breast:report of a case. Surg Today 35:238-242, 2005
8)Kuo CH, Changchien CS:Sonographic features of retroperitoneal neurilemoma. J Clin Ultrasound 21:309-312, 1993

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1278

印刷版ISSN:0386-9857

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