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文献詳細

雑誌文献

臨床外科65巻4号

2010年04月発行

文献概要

臨床研究

人工肛門閉鎖術における環状皮膚縫合の経験

著者: 間遠一成12 窪田信行1 中田泰彦1 三原良明2 吉田直2 神野大乗1

所属機関: 1みつわ台総合病院外科 2日本大学消化器外科

ページ範囲:P.571 - P.575

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要旨:人工肛門閉鎖術は,機能回復とQOL改善を目的とするため,社会復帰が速やかで整容性が良好であることが理想だが,高率な創感染に難渋し,また大きな瘢痕になりやすい.環状皮膚縫合(PSC)は,感染制御に優れた方法として1997年にBanerjeeが紹介した.最近,筆者もPSCを好んでおり,その経験を紹介する.大腸穿孔(4例),結腸癌イレウス(3例)などで人工肛門を造設した10例にPSCを施行した.人工肛門を含む腸管を切除し吻合後,腹壁を閉鎖し真皮にナイロン糸で連続巾着縫合を掛け,縫縮した.術後創処置は行わず1週間で抜糸した.結果,創感染は全例で認めず,9例では1~3cmの瘢痕に縮小し,整容性に優れていた.

参考文献

1)Banerjee A:Pursestring skin closure after stoma reversal. Dis Colon Rectum 40:993-994, 1997
2)安田聖栄,野登 隆,石田正見,他:結腸人工肛門閉鎖術後の合併症に関する検討.日消外会誌 25:1041-1046,1992
3)松友寛和,後藤明彦,仁田豊生:最近9年間に当院で施行した人工肛門閉鎖術症例16例の検討.日本外科系連合会誌 23:1000-1003,1998
4)北川雄一,山口晃弘,磯谷正敏,他:結腸人工肛門閉鎖術の検討.外科 60:455-457,1998
5)壁島康郎,渡邊昌彦,長谷川博俊,他:Diverting stomaとしての回腸人工肛門と横行結腸人工肛門の比較検討.日消外会誌 34:1395-1399,2001
6)中田 健,大城繭子,渡邉光子,他:人工肛門閉鎖術後の合併症発生に影響する因子の検討.STOMA:Wound & Continence 12:7-11,2005
7)Sutton CD, Williams N, Marshall LJ, et al:A technique for wound closure that minimizes sepsis after stoma closure. ANZ J Surg 72:766-767, 2002
8)宇野彰晋,中村利夫,中村 達:当院における一時的人工肛門に対する人工肛門閉鎖の工夫.日ストーマリハ会誌 18:169,2002
9)白 京訓:ストーマ閉鎖術における環状皮膚縫合法の有用性の検討.日本大腸肛門病会誌 60:55-60,2007
10)櫻井 丈,牧角良二,諏訪敏之,他:人工肛門閉鎖術における皮膚環状縫合法.手術 63:223-226,2009
11)Hackam DJ, Rotstein OD:Stoma closure and wound infection:an evaluation of risk factors. Can J Surg 38:144-148, 1995
12)山内逸人,浅尾高行,田部雄一,他:一時的人工肛門造設術と閉鎖術におけるベンツマーク切開創の評価.日外会誌 109:393,2008

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1278

印刷版ISSN:0386-9857

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