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文献詳細

雑誌文献

臨床外科65巻4号

2010年04月発行

文献概要

臨床報告

大動脈解離治療後の上行結腸狭窄に対して腹腔鏡下手術を行った1例

著者: 亀山仁史1 山崎俊幸1 前田知世1 中野雅人1 赤松道成1 片柳憲雄1

所属機関: 1新潟市民病院外科

ページ範囲:P.583 - P.587

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要旨:症例は64歳,男性.2009年1月,胸痛の精査をしたところ,Debakey Ⅲb型の大動脈解離と診断された.破裂の所見はなく,血圧コントロールを行いながら保存的治療の方針となった.2か月後,右下腹部痛が出現した.下部内視鏡検査で上行結腸に限局性の狭窄が認められた.内視鏡的拡張術を行ったが拡張されなかった.症状が改善せず,狭窄も高度のため内科的治療の限界と考えた.手術適応と判断して腹腔鏡補助下回盲部切除を行った.病理組織学的標本では憩室や特異炎症はみられず,瘢痕組織による狭窄と診断された.術後の経過は良好で術後6病日に退院となった.退院後は腹痛などもみられず,外来経過観察中である.

参考文献

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掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1278

印刷版ISSN:0386-9857

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