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文献詳細

雑誌文献

臨床外科65巻4号

2010年04月発行

文献概要

勤務医コラム・11

冷汗の日々

著者: 中島公洋1

所属機関: 1慈仁会酒井病院外科

ページ範囲:P.601 - P.601

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 最近特殊なことが多くて,冷汗の日々が続いています.①30歳代の太った男性の呼吸困難.あちこち受診したが解決しないと訴える.下肢深部静脈と肺動脈の血栓症であった.ラパ胆後1日目にみたことはあったが,普通の外来で診たのは初めてであった.その後は循環器内科の先生にお願いした.②これも30歳代の男性.内気な人で声が小さい.腹痛と下痢があり,echoでは胆砂があった.日毎に顔色が悪くなる.もう一度echoしてみると,少量の胸腹水とともに多量の心囊液が….「腹部症状を主訴とする心外膜炎」というものがあるそうで,若年者突然死の原因になるとのこと.本例も循環器内科の先生にお願いして事なきを得た.③70歳代の女性.PEGを依頼され,いつものように行っていたところ,tubeが創からスポーンと抜けてしまった.胃に穴が空いている.大変だ.落ち着いて同じ穴からやり直し,終わったあとにドッと汗が出た.何事もなくてよかった.④これも70歳代の女性の壊死性胆囊炎.開腹してみると胆道がおかしい.術中造影を何度もやる.右副肝管を一旦切離して,胆摘を済ませたのちに,総胆管と吻合した.ひとつ間違えば泥沼化していたはずで,何事もなく元気に帰れてよかった.⑤パナルジンとバイアスピリンを服用中の60歳代の男性.脚立から落ちて左上腹部を打った.脾臓は大丈夫そうだが大きなhematomaができていて,fluidが少しずつ増えている.血圧は下がる.Free airはないが,結構痛がっている…….色々な思いが交錯する.開腹した.左結腸間膜からの出血であった.穿孔はないようだ.左結腸を切除して吻合した.便がたくさんあってイヤな気がしたが,何事もなく経過して本当によかった.

 以上のことが同じ月に起こりました.何か悪いモノでも憑いているのではなかろうか? いつも周囲の人に文句ばかり言っている私,その私に対する神様からの忠告かもしれません.感謝の気持ちを忘れずに笑顔でやっていこう,と思った次第です,ハイ.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1278

印刷版ISSN:0386-9857

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