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文献詳細

雑誌文献

臨床外科65巻5号

2010年05月発行

文献概要

臨床研究

急性虫垂炎手術例のsurgical site infection(SSI)と細菌学的検討

著者: 梅邑明子1 郷右近祐司1 遠藤義洋1 梅邑晃1 北村道彦3 中島佳子2

所属機関: 1岩手県立胆沢病院外科 2岩手県立胆沢病院検査科 3岩手県立中部病院外科

ページ範囲:P.709 - P.714

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要旨:急性虫垂炎術後のsurgical site infection(SSI)発生とその起因菌について検討した.過去8年間の急性虫垂炎手術例261例を対象に,年齢,炎症の程度,術式・手術時間,抗菌薬投与日数,術中腹水培養につきSSIの有無別に比較した.SSIは21例(8.0%)に発生し,発生率は16~39歳で低く,穿孔性で高かった.SSI発生群は高齢かつ高度炎症例が多かった.手術時間はSSI発生群で長く,抗菌薬はほとんどの症例でcefmetazoleを使用し,投与日数に差はなかった.腹水培養の培養陽性率,検出菌株数,複数菌感染率,嫌気性菌感染率,上位検出菌種に差はなかった.SSI発生率の高い穿孔性症例に対しては複数抗菌薬を併用することが必要と考えられる.

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掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1278

印刷版ISSN:0386-9857

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