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文献詳細

雑誌文献

臨床外科65巻6号

2010年06月発行

文献概要

臨床報告

胃-空腸吻合部に発生した胃内分泌細胞癌の1例

著者: 松村富二夫1 崔林承1 市原敦史1 柴田雄司1

所属機関: 1社会保険大牟田天領病院外科

ページ範囲:P.897 - P.900

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要旨:症例は57歳の男性で,10歳の頃に胃-空腸吻合の手術を受けている(詳細不明).2008年4月,全身倦怠感と食欲不振にて胃内視鏡検査を受けたところ吻合部に2型の腫瘍を指摘された.生検でGroup Ⅴと診断し,幽門側胃切除,小腸,横行結腸部分切除術を施行した.術後の病理組織検査にてsynaptophysin, chromogranin A, NSEに対する抗体が陽性であり,神経内分泌細胞への分化を示しており内分泌細胞癌と診断した.低分化型の内分泌細胞癌は予後不良であるが,術後補助療法としてCDDP+CPT-11を3コース行ったところ1年9か月後の現在でも再発を認めていない.胃-空腸吻合部に発生した内分泌細胞癌は,われわれの検索した範囲ではほかには報告例はなかった.

参考文献

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掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1278

印刷版ISSN:0386-9857

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