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1200字通信・16
最後の花火
著者: 板野聡1
所属機関: 1寺田病院外科
ページ範囲:P.1133 - P.1133
文献購入ページに移動 当地では毎年7月の最終土曜日に夏祭りがあり,夜には花火の打ち上げが盛大に催されています.普段は静かな病院も,患者さんやご家族の方々,さらには職員さんたちの浮き浮きした気分からか,この日だけは朝からそれなりに夏祭りの雰囲気を味わえることになります.
昨年の7月,たまたまそうした花火の夜に当直にあたっていたのですが,遠くから聞こえてくる花火の音に誘われて,医局から病棟の廊下へ出てみることにしました.3階にある病室から花火がよく見えることは知っていたのですが,その部屋にはすでに多くの入院患者さんたちが集まり,夜空を彩る大輪の花火に歓声をあげておられました.私は廊下から患者さんたちの肩越しに花火見物をすることになりましたが,明かりを落とした部屋のなかで花火が瞬くたびに,車いすで見物している患者さんの姿が淡く照らし出されることに気づきました.
昨年の7月,たまたまそうした花火の夜に当直にあたっていたのですが,遠くから聞こえてくる花火の音に誘われて,医局から病棟の廊下へ出てみることにしました.3階にある病室から花火がよく見えることは知っていたのですが,その部屋にはすでに多くの入院患者さんたちが集まり,夜空を彩る大輪の花火に歓声をあげておられました.私は廊下から患者さんたちの肩越しに花火見物をすることになりましたが,明かりを落とした部屋のなかで花火が瞬くたびに,車いすで見物している患者さんの姿が淡く照らし出されることに気づきました.
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