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文献詳細

雑誌文献

臨床外科65巻8号

2010年08月発行

臨床外科交見室

What did McBurney mean by the point bearing his name?

著者: 佐藤裕1

所属機関: 1誠心会井上病院外科

ページ範囲:P.1153 - P.1153

文献概要

 虫垂炎の際に認められる臨床徴候として,反跳圧痛(Blumberg sign)や筋性防御(défense musculaire)とともに,最も知られた診断的価値の高い圧痛点がMcBurney点とLanz点である.後述する原典においてMcBurney点は,「臍と右上前腸骨棘とを結ぶ線上で,腸骨棘から1.5~2インチ臍側へ寄った点」であり,Lanz点は「両側の上前腸骨棘を結ぶ線分を三等分する最右側の点」である(図1).このうち,McBurney点に関しては埼玉医科大学総合医療センターの佐藤紀氏が本誌の交見室欄に「Where is McBurney's point?」1)と題して寄稿し,McBurneyの原典に基づいてその正確な位置を論考している.

 それでは,McBurney2,3)が唱えたこの圧痛点の意味するところは何であろうか.日常経験するように,虫垂の形状やその走向は千差万別である.虫垂炎に対する早期外科手術の提唱者でもあるMcBurney2,3)はその後の論文で,「臍(N)と右側上前腸骨棘(SIAS)を結ぶ線上でSIASから1.5~2インチの点に皮膚切開をおいて,腹斜筋群を分けていって開腹すると(gridiron incision),虫垂の基部に到達する」,すなわち「この点は虫垂の基部(the base of appendix)に相当する」と述べている.しかし,このMcBurney圧痛点を欧州に紹介したオランダ・アムステルダムのLanz4)はみずからの論文において,「自分が提唱する圧痛点のほうが虫垂基部に忠実に対応している」と述べている(図2).

参考文献

1)佐藤 紀:Where is McBurney's point? 臨外 54:780-781,1999
2)McBurney CH:Experience with early operative interference in cases of disease of the vermiform appendix. NY Med J 50:676-684, 1889
3)McBurney CH:The indications for early laparotomy in appendicitis. Ann Surg 13:233-254, 1891
4)Lanz O:Der McBurney'sche Punkt. Zbl f Chir 7:185-190, 1908

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1278

印刷版ISSN:0386-9857

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