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文献詳細

雑誌文献

臨床外科65巻8号

2010年08月発行

境界領域

頸動脈内膜損傷の診断にMDCTが有用であった頸部刺創の1治験例

著者: 遠藤慎一1 奥野憲司2 小林博雄3 小川武希2 幕内晴朗4

所属機関: 1石岡循環器科脳神経外科病院心臓外科 2慈恵会医科大学病院救急医学科 3石岡循環器科脳神経外科病院 4聖マリアンナ医科大学心臓血管外科

ページ範囲:P.1159 - P.1162

文献概要

要旨:56歳の女性.統合失調症で通院歴がある.自己の頸部を包丁で刺し,救急車で来院した.大量の皮下気腫があるため気管損傷が疑われ,刺創部は血腫で止血されていたが,血管損傷の可能性も高いと判断した.損傷状態の検索のためMDCTを行った後,直ちに手術室に搬送し,緊急手術のため全身麻酔を開始した.この時点でMDCTの結果が得られ,頸動脈の内膜損傷があることがわかり,頸動脈修復術と気管縫合術を行った.手術時の肉眼的所見のみでは頸動脈損傷を診断することは困難であった.画像構成に時間がかかるMDCTの緊急症例における有用性について検討した.

参考文献

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掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1278

印刷版ISSN:0386-9857

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