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臨床報告
文献概要
要旨
患者は62歳,男性.腹痛と発熱を主訴に受診した.血液検査で炎症所見を認め,腹部CT検査では膵尾部と左腎の間に10cm大の腫瘤を認めた.腹部MRI検査も施行したが,原因は特定できなかった.腹痛や炎症所見を認めていたため,原因検索を兼ねて手術を施行した.腫瘤は横行結腸間膜に認め,横行結腸および膵尾部に癒着していた.原因不明であったため,横行結腸および膵尾部を含めて腫瘤を摘出した.摘出標本では腫瘤内腔に血腫が貯留し,病理学的所見では内腔に明らかな上皮はなく,血管病変や腫瘍病変も認めなかった.腹部外傷,血液疾患,抗凝固薬内服の既往はなく,特発性腸間膜血腫と診断した.現在まで再発を認めていない.
患者は62歳,男性.腹痛と発熱を主訴に受診した.血液検査で炎症所見を認め,腹部CT検査では膵尾部と左腎の間に10cm大の腫瘤を認めた.腹部MRI検査も施行したが,原因は特定できなかった.腹痛や炎症所見を認めていたため,原因検索を兼ねて手術を施行した.腫瘤は横行結腸間膜に認め,横行結腸および膵尾部に癒着していた.原因不明であったため,横行結腸および膵尾部を含めて腫瘤を摘出した.摘出標本では腫瘤内腔に血腫が貯留し,病理学的所見では内腔に明らかな上皮はなく,血管病変や腫瘍病変も認めなかった.腹部外傷,血液疾患,抗凝固薬内服の既往はなく,特発性腸間膜血腫と診断した.現在まで再発を認めていない.
参考文献
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