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文献詳細

雑誌文献

臨床外科66巻10号

2011年10月発行

文献概要

勤務医コラム・29

開業医vs勤務医

著者: 中島公洋1

所属機関: 1慈仁会酒井病院外科

ページ範囲:P.1335 - P.1335

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 「“母を尋ねて三千里”は絵になるが,“当直続けて二千回”はちょっとネ~」などと酒の席で話していたら,自営業の同級生から「開業という手もあるんじゃないか?」とのご指摘.確かに,開業すれば当直はない.しかし,開業した先輩や後輩をみていると,「大変そうだな」と感じる.①開業医は孤独である.日常診療のちょっとしたことをface to faceで同僚と議論できる環境というものはものすごく貴重であり,勤務医にはそれがある.②開業医は経営のことを本気で考えなければならない.世のため人のための仕事をしながら,なおかつ経営もうまくいかせるなんて,私などには絶対無理だ.③開業すると人を雇う必要があるが,この「人を雇う」ということほど恐しいものはない.労務管理のドロ沼で法律の本をめくる自分の姿など想像もできない.④開業医はクレーマーに一人で対処しなければならないが,これはキツイだろう.⑤予防接種のような学校保健の仕事,検死のような警察関連の仕事,医師会主催行事のmanageや講演会の世話,看護学校の運営,福祉関係の書類づくり……などなど,開業医の先生方はextraの仕事を山ほどかかえている.一時期,“開業医に比べて勤務医は,収入が少なく就業時間が長いから可哀そう”などという風潮が広まったことがあったが,それはマスコミ主導の浅薄な考えであろう.勤務医生活30年近くになり,日当直が多くてブウブウ言っている私ですが,心の底では,①同僚がいて,②お金のことを気にせず,③労務のことに無頓着で,④トラブルがあったら皆に相談でき,⑤socialな意味での責務が軽い,今のこの自由な環境がbestだと思っています.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1278

印刷版ISSN:0386-9857

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