文献詳細
Expertに学ぶ画像診断・8
画像強調観察:AFI(下部)
著者: 松田尚久1 玉井尚人1 坂本琢1 中島健1 斎藤豊1
所属機関: 1国立がん研究センター中央病院消化管内視鏡科
ページ範囲:P.1546 - P.1550
文献概要
大腸癌は癌死亡の主要な原因の1つとなっており,その前癌状態と考えられる腺腫性ポリープを内視鏡的により早期に発見し摘除することが癌予防の観点からも重要となっている.大腸内視鏡画像の高精細化や内視鏡診断学の進歩などによって大腸腺腫の診断能は向上したものの,依然として大腸内視鏡での腺腫性ポリープの見落としが約20%に存在すると言われている.また,インジゴカルミンによる色素撒布法によって大腸病変の描出能は向上したが,全大腸に色素を撒布することは効率のよい検査法とはいえず,簡便に大腸腫瘍をスクリーニングできるような機器の開発が望まれてきた.近年,大腸内視鏡による腫瘍性病変発見の効率化を目的として様々な画像強調観察法が開発され臨床応用されるに至り,従来用いられてきた色素撒布法よりも簡便にスクリーングできるようになりつつある.
自家蛍光内視鏡システム(Autofluorescence Imaging system:AFI:オリンパスメディカルシステム)は画像強調観察法(image enhanced endoscopy:IEE)の1つである.蛍光物質の投与を行わずに,組織の変性過程に従って発生する内因性蛍光物質の自家蛍光が減弱する特性を利用した診断技術であり,肺癌診療における気管支鏡検査に対しても応用されている.また,消化管領域においてもその有用性が報告されつつある.
本稿ではAFIシステムとその有用性に関する研究の紹介と今後の課題について,実際の症例を呈示しながら解説する.
参考文献
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