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臨床報告
プロテインC欠損症による上下腸間膜静脈血栓症の1手術例
著者: 有光竜樹1 瀬尾智1 濱口雄平1 馬場園豊1 尾池文隆1 光吉明1
所属機関: 1三菱京都病院消化器外科
ページ範囲:P.1555 - P.1558
文献購入ページに移動患者は53歳,男性.主訴は下腹部痛および下痢で,左下腹部に弾性・軟な腫瘤を触知した.腹部CT,大腸内視鏡,血管造影などの所見から,腸間膜静脈血栓による左側結腸のうっ血性浮腫と診断した.また,血清分析ではプロテインC抗原量の低下を認めた.血栓溶解および抗凝固療法を行って腹部症状はいったん改善したが,下血が出現するようになった.抗凝固薬を中止したが症状の改善は得られず,腹会陰式直腸切断術および腸瘻造設術を施行した.術後に抗凝固療法を再開し,経過は良好である.プロテインC欠損による腸間膜静脈血栓症の報告は稀であり,特に下腸間膜静脈血栓症の手術例は,検索した範囲ではわが国では2例目であった.
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