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文献詳細

雑誌文献

臨床外科66巻12号

2011年11月発行

文献概要

臨床報告

虫垂粘液囊胞腺癌によって腸重積をきたした1症例

著者: 小西啓夫1 小池浩志1 山口明浩1 菅沼泰1

所属機関: 1公立山城病院外科

ページ範囲:P.1563 - P.1566

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要旨

患者は78歳,女性.心窩部痛を主訴に近医を受診し,精査・加療目的で当院を紹介され受診した.腹部CTで横行結腸内に囊胞性腫瘤を先進部とする腸重積の所見を認めた.下部消化管内視鏡で腸重積を整復したのち,再度,CTを施行して径40mmほどの虫垂粘液囊腫と診断した.治療は待機的に開腹術を行い,悪性の可能性も考慮して右半結腸切除術およびD3郭清を施行した.病理組織学的診断で虫垂粘液囊胞腺癌と診断された.同腫瘍が原因となる腸重積は比較的稀である.治療は切除術が基本であるが,腹膜偽粘液腫をきたさないことが重要である.そのため,腸重積の整復の必要性や腸管の切除範囲などを考慮する必要がある.

参考文献

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掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1278

印刷版ISSN:0386-9857

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