文献詳細
臨床報告
回盲部に連続して二つの異なる形態でみられた悪性リンパ腫の1例
著者: 石丸綾子1 石黒陽1 勝浦康光1 福島文典1 中山順今2
所属機関: 1五香病院外科 2鎌ヶ谷総合病院病理
ページ範囲:P.1678 - P.1682
文献概要
消化管悪性リンパ腫のなかで小腸悪性リンパ腫は胃に次いで多いが,胃悪性リンパ腫に比べ診断がなされた時点で進行している場合が多く,予後は不良といわれる.本症例は腹痛精査のため下部内視鏡検査を行ったが,Bauhin弁が硬く腫大して回腸末端への挿入ができず,術前に診断は得られなかった.手術による病理組織検査で悪性リンパ腫の診断を得た.病変は腫大したBauhin弁とこれに接する回腸末端の潰瘍で,病理組織像は同一であったことから回腸末端に発生した腫瘍が発育のための血行を求めてBauhin弁に進展したものと思われる.回腸末端は小腸悪性リンパ腫の好発部位であるため,下部内視鏡検査でこの部位までの観察は必須である.
参考文献
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