文献詳細
臨床報告
大腸憩室浸潤および腸腰筋膿瘍を併発した虫垂癌の1例
著者: 徳毛誠樹1 中村聡子2 溝尾妙子3 久保孝文1 鈴鹿伊智雄1 塩田邦彦1
所属機関: 1香川県立中央病院外科 2香川県立中央病院病理 3姫路聖マリア病院外科
ページ範囲:P.1687 - P.1690
文献概要
症例は52歳の男性.右下腹部痛と便潜血反応陽性のために施行された大腸内視鏡検査において,盲腸から上行結腸にかけて壁外からの圧迫と数か所のびらん性隆起を認めた.腹部CT検査で腸腰筋膿瘍を伴う腫瘍性病巣を上行結腸背側に認め,壁外進展性の上行結腸癌を疑い手術を施行した.盲腸から上行結腸背側に塊状となった腫瘍を認め,後腹膜および腸骨筋の一部を合併切除する回盲部切除術により腫瘍を摘出した.病理検討の結果,虫垂癌が上行結腸背側から憩室部分で限局性に結腸内腔に浸潤露出したために特異な内視鏡像を呈していたと推察された.同時性肺転移を認めていたが化学療法施行後に切除し,初回術後約3年の現在,無再発生存中である.
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