臨床外科66巻3号

2011年03月発行

特集 知っておくべき 外科手術の神経系合併症 その診断と対策

頸部手術時の反回神経損傷

著者： 花澤豊行¹ 米倉修二¹ 櫻井大樹¹ 鈴木誉¹ 茶薗英明¹ 岡本美孝¹

所属機関： ¹千葉大学大学院医学研究院耳鼻咽喉科・頭頸部腫瘍学

ページ範囲：P.274 - P.277

【ポイント】

◆反回神経は左側に比べて右側は確認しにくいことが多いため，解剖を熟知し，特殊機器を用いるなど同定を工夫する．

◆片側の反回神経麻痺によって嗄声と誤嚥が生じるため，特に術後の呼吸および食事管理には注意する．

◆反回神経損傷に対しては即時神経再建術と音声改善術が存在し，術後のQOLの改善と生命予後の向上に役立つ．

参考文献

1）Issiki N, Morita H, Okamura H, et al：Thyroplasty as a new phonosurgical technique. Acta Otolaryngol 78：451-457, 1974

2）土師知行：甲状軟骨形成術Ⅰ型　適応と材料．喉頭 15：74-77，2003

3）手塚克彦，田山二朗，肥後隆三郎，他：反回神経麻痺の音声外科―披裂軟骨内転術の治療成績と問題点．音声言語医 41：276-278，2000

4）一色信彦：喉頭形成術の適応疾患と術前診断．ENTONI 72：1-8，2007

GW Randolph（ed）；Surgery of the Thyroid and Parathyroid Glands. Philadelphia, Saunders, 2003, pp300-342

6）山田弘之，石田良治，中村　哲，他：甲状腺手術における反回神経即時再建の有用性．頭頸部腫瘍 30：71-77，2004