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文献詳細

雑誌文献

臨床外科66巻4号

2011年04月発行

Expertに学ぶ画像診断・3

画像強調観察:NBI(上部)

著者: 豊泉博史1 田尻久雄2

所属機関: 1東京慈恵会医科大学内視鏡科 2東京慈恵会医科大学消化器・肝臓内科/内視鏡科

ページ範囲:P.480 - P.487

文献概要

はじめに

 わが国は胃癌の罹患率が高いことから,従来から胃癌集団検診システムが確立されている.そのシステムの進歩とともに早期胃癌の発見率も上昇しており,また,早期胃癌の治療法として内視鏡的粘膜下層剝離術(endoscopic submucosal dissection:ESD)が開発され,以前より根治性の高い治療が可能となっている.早期の段階で胃癌を治療することは胃癌による死亡率を減少させるためにも重要であり,そのための胃癌の早期発見は胃発癌予防と並ぶ癌診療・研究の最大の目標である.

 胃癌における従来の内視鏡診断法としては通常内視鏡所見と色素内視鏡所見(特にインジゴカルミン液)が基本であった.これらの検査法は病変の凹凸や色調変化といった腫瘍に特異的とはいえない所見をもとに診断をするため,限界があった.しかし,高画素narrow band imaging(NBI)併用拡大電子内視鏡スコープの開発によって状況は一変した.従来まで困難であった微細粘膜構造や血管模様が直接認識できようになり,腫瘍特異的な所見に基づいてリアルタイムに病理学的診断に匹敵しうる診断が可能となった.

 本稿では,現時点における胃癌の診断法として確立されつつあるNBI併用拡大内視鏡を中心に早期胃癌診断学について述べる.

参考文献

1)日本胃癌学会(編):胃癌治療ガイドライン.第3版.金原出版,2010,p8
2)Gotoda T, Yanagisawa A, Sasako M, et al:Incidence of lymph node metastasis from early gastric cancer:estimation with a large number of cases at two large centers. Gastric Cancer 3:219-225, 2000
3)笹子三津留,木下 平,丸山圭一:早期胃癌の予後.胃と腸 28:139-146,1993
4)Kaise M, Kato M, Arakawa H, et al:Diagnostic criteria for superficial depressed gastric cancer by magnifying endoscopy combined with narrow band imaging. Endoscopy 41:310-315, 2009
5)田尻久雄,加藤智弘,貝瀬 満:電子内視鏡の新展開 スクリーニングから精密診断まで.胃と腸 39:1635-1642,2004
6)貝瀬 満,仲吉 隆,田尻久雄:NBI(Narrow Band Imaging)NBI併用拡大電子内視鏡による早期胃癌診断.臨消内科 21:47-53,2005
7)Nakayoshi T, Tajiri H, Matsuda K, et al:Magnifying endoscopy combined with narrow band imaging system for early gastric cancer:correlation of vascular pattern with histopathology(including video). Endoscopy 36:1080-1084, 2004
8)加藤正之,貝瀬 満,田尻久雄:NBI 胃.消内視鏡 21:185-193,2009

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1278

印刷版ISSN:0386-9857

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