文献詳細
臨床報告
コハク酸ヒドロコルチゾンにより重篤なアナフィラキシーショックをきたした膵癌手術後の1例
著者: 三輪高也1 山村義孝1 福岡伴樹1 村井俊文1 佐野正明1 新木智映子2
所属機関: 1名古屋記念病院外科 2名古屋記念病院薬剤部
ページ範囲:P.509 - P.512
文献概要
症例は58歳,男性,膵頭部癌に対して外科手術を施行した.術後第1病日にFFPを投与したところ,膨隆疹が出現したのでコハク酸ヒドロコルチゾンナトリウム(サクシゾン®)100mgを静注した.数分後に呼吸困難と血圧低下をきたしたが,集中治療により1時間後に回復した.輸血によるアレルギー反応と判断し,サクシゾン500mgを再静注したところ,その直後に再び血圧が低下し酸素化も不良の重篤なショック状態となった.薬剤アレルギーの既往はなかったが,経過と皮内反応試験などからサクシゾンがアナフィラキシーショックの原因と判断した.アレルギー治療薬であるはずのステロイド薬が,重篤なアレルギー反応を引き起こした症例を経験した.
参考文献
掲載誌情報