icon fsr

文献詳細

雑誌文献

臨床外科66巻4号

2011年04月発行

臨床報告

肝囊胞の診断にて経過観察されていた壁外発育型巨大胃GISTの1例

著者: 望月智弘1 市東昌也1 掛札敏裕1 大森泰1 篠田昌宏2 杉浦仁3

所属機関: 1川崎市立川崎病院外科 2慶應義塾大学医学部外科 3川崎市立川崎病院検査科病理診断部

ページ範囲:P.518 - P.522

文献概要

要旨

症例は85歳,男性.既往に77歳時,下行結腸癌に対し手術を施行されている.術前CTで肝より突出する囊胞性病変を指摘されていたが,経過観察としていた.2009年のCTおよびMRI上,囊胞は増大し,充実成分が顕在化していた.肝囊胞腺癌を強く疑い手術を施行した.肝外側区域下縁に囊胞性病変を認めたが,肝と連続性はなく,胃原発の囊胞成分を伴う壁外発育型GISTが疑われた.腫瘍を含めた胃部分切除術を施行した.病理組織学的所見ではKIT,CD34陽性であり,GISTと診断した.囊胞変性を伴う胃原発GISTの報告は,会議録を除き本症例は17例目であり,わが国最高齢であった.肝外側区域に囊胞性病変を認める場合は,常に本症を念頭に置き診断・治療することが重要である.

参考文献

1)星野真人,志田敦男,瀧 徹哉,他:囊胞変性を示し診断が困難であった胃GISTの1例.日外科系連会誌 34:46-50,2009
2)新田佳苗,海崎泰治,細川 治,他:巨大な囊胞を形成した胃GISTの1例.胃と腸 41:1589-1596,2006
3)河西 秀,添田純平,小田切範晃,他:囊胞性変化を生じた巨大胃gastrointestinal stromal tumorの1例.外科治療 87:435-438,2002
4)佐藤正幸,蘆野吉和,宮澤正紹,他:2つの組織像を有し巨大囊胞を伴う興味ある胃GIST(committed type)の1例.臨外 59:933-937,2004
5)岡村誠介,佐野壽昭,木村哲夫,他:囊胞変性により特異な形態を呈した胃GISTの1例.胃と腸 41:844-850,2006
6)藤井 努,金住直人,杉本博行,他:膵囊胞性腫瘍との鑑別に苦慮した小網原発gastrointestinal stromal tumorの1切除例.日臨外会誌 67:716-721,2006
7)荒谷 純,及川郁夫,北川真吾,他:胃原発巨大GISTの1例.臨と研 81:311-314,2004
8)志田 崇,小川 清,宮崎 勝:有茎性に発育した胃壁外性gastrointestinal stromal tumor(GIST)の1例.外科 67:982-985,2005
9)藤田真司,吉田郁男,山口 久,他:壁外有茎性に発育した胃gastrointestinal stromal tumor(GIST)の1例.臨外 58:1265-1267,2003
10)柴 浩明,中田浩二,羽生信義,他:胃壁外型有茎性発育を呈したGISTの1例.日臨外会誌 68:587-590,2007
11)神宮和彦,望月亮祐,森 幹人:壁外に有茎性発育した巨大胃GISTの1例.日臨外会誌 69:1058-1064,2008
12)吉川幸造,尾方信也,木下貴史,他:腫瘍内出血により増大した胃GISTの1例.四国医誌 61:38-42,2005
13)宇山 攻,沖津 宏,一森敏弘,他:壁外有茎性発育した胃GISTの1例.日臨外会誌 70:1975-1980,2009
14)清崎浩一,周東千緒,斉藤正昭,他:胃粘膜下腫瘍に対する腹腔鏡下胃局所切除術.外科治療 101:73-76,2009
15)日本癌治療学会,日本胃癌学会,GIST研究会(編):GIST診療ガイドライン.金原出版,2008,p5,pp23-24

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1278

印刷版ISSN:0386-9857

雑誌購入ページに移動
icon up

本サービスは医療関係者に向けた情報提供を目的としております。
一般の方に対する情報提供を目的としたものではない事をご了承ください。
また,本サービスのご利用にあたっては,利用規約およびプライバシーポリシーへの同意が必要です。

※本サービスを使わずにご契約中の電子商品をご利用したい場合はこちら